「学校の自律性確立」、これが今日の教育改革において大きな課題とされています。それは個々の学校がその権限と責任を明確にし、保護者や地域から信頼される体制を確立することを必要としていますが、そのためには学校の組織マネジメントを担うスクールリーダーが重要な役割を果たしていかなければなりません。従って、これからの学校組織の中核となり、リーダーシップを発揮する教職員の育成が重要な課題となっています。とりわけ、教職員の若返りが進んでいる今日の状況において、ミドル層の育成が喫緊の課題と言えるでしょう。

本コースでは、今日の学校に求められる教育課題や社会の中における学校の役割について的確に理解することにより、学校の進むべき方向に関するビジョンを自ら構築し、その実現に向けた経営活動を担うことができるスクールリーダーを育成することを目的としています。また本コースが対象とするスクールリーダーは、教育職員にとどまらず、学校の組織マネジメントを担う重要な職員として学校事務職員や教育委員会事務局職員といった行政職員も含めて考えており、その育成も目的としています。教育職員と行政職員とが共に学ぶことにより、両者の協働が促進され、学校の組織マネジメントがいっそう充実していくものと考えています。

こうした目的を達成するために、本コースでは、教育行政、学校経営に関わる授業科目を設定し、今日の教育課題との関連で、その本質を理解できるようにすると共に、事例研究、フィールドワークなどを積極的に行い、実地に即した学びを展開できるように工夫しています。実習科目も勤務校において学校経営力を高度化させる内容としています。

なお本コースは、京都教育大学、同志社女子大学、龍谷大学の教育行政、学校経営を専門とする研究者教員及び校長経験のある実務家教員が指導します。

教育改革と教育行政・学校経営
教育法規の適用と課題
学校づくりとリーダーシップ
学校組織改善の理論と手法
学校の危機管理
学校経営力高度化実践研究

  • 塩谷 道次

    しおのや みちつぐ

    京都教育大学・教授
    京都市教育委員会

    京都市教育委員会より派遣。京都市立中学校国語科教諭として 18年間教壇に立つ。学級担任・同和教育主任・学年主任として 一人一人の生徒を徹底的に大切にする教育を進めてきた。その後 京都市教育委員会人権教育企画課・教育計画課の指導主事として 人権教育の推進にかかわる。5年間の教頭時代には,5中学校統 合のため閉校する中学校と,施設分離型で5・4制小中一貫教育 とコミュニティスクールを進める中学校に勤務。その間に,兵庫 教育大学大学院学校指導職専攻に2年間学び,学校経営について 研究。その後,校長としての2年間,その学びを生かし,保護者 ・地域と一体となって生徒をはぐくむ学校づくりに取り組んだ。 現在は,京都市総合教育センター研究課首席指導主事として,主 として現職教員の教育実践研究の指導を担当している。

  • 滋野 哲秀

    しげの てつひで

    龍谷大学・教授

    専門領域は学校経営と教師論。研究テーマは、魅力のある学校の組織とリーダーシップ、ミドルリーダーと教員の同僚性、専門家としての教員の成長と校内研修、授業研究である。特に、近年、急速に増加する若手教員をどう育成するかについて、大学における養成段階と学校の教職員集団とのかかわりや教育委員会との関係から検討していきたい。また、気象予報士の資格を生かし、学校における安全管理体制についての事例研究も行っている。
    著書に「京 天と地と人」(共著 京都新聞出版、2015)、「高校教育のパラダイムシフト」(単著 龍谷教職ジャーナル、2014)などがある。

  • 竺沙 知章

    ちくさ ともあき

    京都教育大学・教授
    副研究科長

    教育行政、学校経営を専門としている。特に学校財政制度の研究を続けてきており、アメリカ合衆国における学校財政制度のあり方をめぐる議論や制度改革のあり方について研究を行っている。
    また日本における学校財政制度、とりわけ学校の組織運営を支える財務のあり方について、学校事務職員とともに研究を進めている。学校の自律性を確立し、教育の成果を高めるための組織化や運営のあり方について、財政面を中心に考えているところである。  また教育面では、教育法規に関する理解を深めることに力を入れている。学校現場で起こる様々な法的問題にいかに向き合えばよいのか、事例に即して検討し、法的思考力を高めていくことを目指している。
    主な著書―『学級編制と地方分権・学校の自律性』(共著)多賀出版、2004年、『公教育経営の展開』(共著)東京書籍、2011年。

  • 水本 徳明

    みずもと のりあき

    同志社女子大学・教授
    学校経営力高度化コース主任

    学校の組織と経営についての研究を専門としている。現代という時代と教育という営みが学校組織とその動きにどのような特徴をもたらすのかを理論的、経験的に明らかにしつつ、それを踏まえた学校経営の在り方について検討することを課題としている。最近は、教職員の思いや感情を聞き取る調査を通じてその課題に迫っている。学校経営の実践については、学校を共生の場として捉え、コミュニケーションづくりを通じた協働の構築のための理論とスキルの開発に取り組んできた。少人数学級、小中一貫教育、中高一貫教育、看護学校経営などについても、実践と研究両面で関わってきた。
    主な著書は次の通り。『共生と希望の教育学』(共著、筑波大学出版会)、『次代を拓くスクールリーダー(学校管理職の経営課題1)』(共著、ぎょうせい)、『システムとしての教育を探る』(共著、勁草書房)。

院生(1年次生) 上良 祐子
(京都市公立中学校勤務)

新規採用より10年間学校現場走り続けてきました。その間にリーダーを育て、フォロワーを育てることで学年や学校が創り上げられていくことを実感しました。
また、子どもたちひとりひとりが、自分の内面と向き合い苦しみながら自己を確立し、自信を持って自分の想いを語り、リーダーやフォロワーとして成長していく姿に教育の奥深さを新たに発見しました。
 採用10年目研修の中でミドルリーダーとして学校をまわしていく立場になったことを自覚した時、上記のような経験を、理論と実践を一致させ、若い世代の先生方にわかりやすく語る術をつけたいとおもい、大学院で勉強することを決めました。
 先日大学院の入学式で経験豊富な先生方に出会い、私自身の今までの価値観を崩しながら、再度構築して行けそうでワクワクしています。
 どんどん成長し輝いていく子どもたちのように、私自身も変化成長していきたいと思います。

第六期修了生 高橋 泰三
(京都府公立中学校勤務)

教員生活20年の節目に本コースで学んだ一年は、私にとってこれからの教員生活の新たな基盤となるものでした。教科指導や学級経営、教育課程管理に東奔西走していた学校現場を離れ、一学生として学ぶことに専念できました。実績と実力のある個性豊かな教授陣によって緻密に構成されたカリキュラムの中で「大学院知」に触れることができたのです。その中で、経験を積み重ね、様々な視点や知恵を持っていると考えていたことが、いかに小さいものであったかを思い知らされました。学校の利害関係者への実践的なアプローチに留まらず、リーガルマインドの精神、ストラテジックな思考、そして学校が自律して在ることについて、苦しくも楽しい学びの営みの中で新しい知見が生まれることを体感しました。この思考は一年で終わるものではありません。ミドルリーダーの皆さん、実践的な教員として成長する機会となり得る本コースでの学びをぜひ経験してほしいと思います。

第五期修了生 井上 猛
(京都市公立小学校勤務)

1年間の学びを終え,早2年が経ちました。今思い出しても夢のような1年間でした。20年以上日々走り続けてきた学校現場を離れ,教師としてではなく,一人の学生として過ごす大学院での生活は,自分自身の学びのためにだけエネルギーと時間を使える贅沢な1年間だったように今更ながら感じています。そして,学校経営力高度化コースでの学びは,これまでの自分自身の「実践知」を再認識すると共に「大学院知」を身につけるものとなりました。日々の授業,そのための準備,そして,修了論文の作成のために数知れない文献や資料と出会い,多くの著書を読み,アンケートやインタビューのためにたくさんの学校を訪れることができました。御指導頂いた教授と二人三脚で書き上げた論文は自分自身の宝物となり,「同僚性を基盤に置いた現場での教師の育ち」は自分自身の教育実践のテーマともなりました。「学び続ける教師」であるための意欲と方法を身につけられたことは私にとって大きな力となっています。是非,学校経営力高度化コースで自分自身を「ジャンプアップ」させてください。

第四期修了生 長谷川 郁子
(京都府公立中学校勤務)

教育を取り巻く社会が激しく変化する中、私は長年に渡り京都府の中学校教育に携わってきました。それは社会の変化に関わらず、ただ目の前の子どもの力を伸ばし課題を解決するため他の教職員や保護者と共に指導・支援するという、教師としては当たり前のことでした。ところが「自分の教育活動はこの繰り返しだけで良いのか、十分に貢献できているのか」と自問する時期が訪れたのです。そんな時にここでの学びの道があることを知り“自分を高め、学び続ける”機会をいただくことになりました。教育改革と教育行政、教育法規、学校づくりとリーダーシップ、また様々な演習等での学びは、現場での実践だけでは出会えないものであり、私のこれまでの教育活動に新たな感性を加えてくれるものでした。この学びを生かし広い視野で学校教育を捉えこれからの学校づくりに参加できる一人になりたいと考えています。

第三期修了生 山口 昌則
(京都市公立小学校勤務)

熱意や使命感、そして「経験知」だけを頼りに山積する困難な教育課題に対応することには限界があります。

教育改革など政策課題についても課題の自校化を図り質的改善に繋げ、自律的な学校経営を進めなければなりません。学校経営力高度化コースでは、スクールリーダーとしてこれらの問題に適切に対処し「理論的裏付けのある実践」によって自律的学校経営を構築するために必要な資質や能力を効率よく高めてくれる質の高いプロクラムが用意されています。現職教員にとっては、日々の「実践知」に「大学院知」が加わり、ゆとりを持って柔軟に教育活動や学校運営に取り組める自信と展望が養われます。教育を俯瞰しつつ具体的な事例を議論する中で、既存の考え方や価値観を見直すことができました。特に教育法規やリーダー論での学びは、現在組織運営にあたる私にとって大きな力となっています。連合教職大学院学校経営力高度化コースで是非「チェンジ」して下さい。

第三期修了生 古田 知史
(京都市公立中学校勤務)

「チェンジ」。この言葉は、今日の学校教育に携わる者なら重要な局面を迎えた際、口々に発してきたことだと思います。私自身も教師としてチェンジを試みてきたうちの一人でした。

私にとって最も大きなチェンジ(転機)の一つになったのは、学校経営高度化コースでの一年間の学びでした。本コースでの、教師としての資質能力を向上させるカリキュラムや著名な教授陣の質の高い講義、事例研究等により、私の中に既存していた学校教育への価値観や考え方に変化や柔軟性を持たせてくれました。特に教育法規の学びは、今日の教育事情に関心を高めさせ、多角的に物事を捉える視点を身につけさせてくれたと実感しています。

教職大学院は、多忙な学校現場では気付けない、そして築けない教師の根幹に新しい刺激を与えてくれます。

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