京都教育大学副学長
連合教職実践研究科長
京都教育大学 教授
竺沙 知章

京都教育大学大学院連合教職実践研究科(略称「京都連合教職大学院」)は、京都教育大学と京都にある7つの私立大学、京都府・京都市教育委員会とによって構成された連合体の教職大学院です。その特色は、国立大学と7つの私立大学がそれぞれの個性を生かし、教育委員会と日常的に連携することにより、新たな教師教育のシステムを構築し、京都の学校教育の充実を目指して、教育実践研究に取り組んでいる点にあります。

京都連合教職大学院では、2つのスローガンを掲げています。それは、「人間教師」と「大学院知」です。教職大学院は高度な専門性を備えた教師を育成することを使命としていますが、その高度化は、教職に必要な知識や技能の高度化だけを意味するのではなく、豊かで魅力的な人間性を伴って初めて成り立つものであると考えています。そしてその人間性は、社会の成り立ちや教育をはじめ様々な現象の背景や文脈、意味を分析し、読み解く「知」に支えられて育まれるものです。そうした「知」は大学院でこそ産み出しうるものと考えています。

本研究科のカリキュラムには、学校等でのフィールドワークや教職専門実習など、学校現場で実地に学ぶ機会を豊富に設けています。現場での様々な体験、学びについて理論を手掛かりに考察したり、現場での体験を手掛かりに理論の意味や限界を考察したりして、教職に必要な知識や見識を豊かにすることにより、高度な教職の専門性と豊かな人間性・社会性、そして高度な指導力を培っています。そうした学修の中で、私たちは、院生の主体性、自律性を大切にしています。今日の学校では、教師自身が向上心をもち、教師として自己実現を図ろうとする主体性、自律性が欠かせないからです。

京都連合教職大学院の学部新卒の修了生は、新人でありながら実践的な指導力を有し、学校づくりの有力な一員として活躍しています。また、現職教員の修了生は、スクールリーダーとして指導的教員や指導主事、学校管理職となり活躍しています。教師を目指す学生の皆さん、学校現場で教育に取り組んでおられる現職教員の皆さん、京都連合教職大学院で共に学びましょう。

  • 本大学院は、京都教育大学を基幹大学として、京都産業大学、京都女子大学、京都橘大学、同志社大学、同志社女子大学、佛教大学、龍谷大学との連合により、京都教育大学内に設置し、協働して運営しています。
    各大学、京都府・京都市教育委員会、公立学校の、各機関が蓄積している知的資源と有している人的資源を最大限に活かした、魅力ある大学院です。

  • 共通科目、コース科目、選択科目、学校実習で構成される教職大学院の教育課程を各教員が得意分野を生かして担当します。
    教職の専門性を高めるため、大学での学びと公立学校(連携協力校)や京都教育大学附属学校を学びのフィールドとし、実習やフィールドワークを通じて学校教育をより深く理解すると共に、現場が直面している今日的教育課題を解決できる力量の形成をめざします。

  • 本大学院には連合構成8大学と京都府・京都市教育委員会から各領域を専門とする研究者教員13名と教育実践に精通した実務家教員10名、合わせて23 名の専任教員が結集し、それぞれの専門性と個性を発揮しつつ協働して、授業や実習指導、ゼミ指導等にあたっています。
    特に学部新卒院生には、研究者と実務家の2名が担当教員となり、院生の個別ニーズに対応しながら、きめ細かく実習指導や修了論文指導、就職支援などに当たります。

  • 学部新卒院生の実践力を高めるため、教職経験豊かな実務家教員が中心となり、実習校の指導教員と連携し、徹底した実習指導を行います。
    また、2年間を見通した計画的、組織的な就職指導を実施すると共に、徹底した個別指導により、全員が教員の道を歩めるようサポートします。
    現職教員院生については、地域の指導的教員、学校管理職となって活躍できるよう教職キャリアに応じたサポートを行います。

  • 創設以来、教員としての国際性を育成するためのプログラムを開発、実施しています。 京都教育大学の学術交流協定大学(韓国・中国・タイ)で、研修やフィールドワーク、教員をめざす院生との交流等を行う海外教育研修を実施しています。また、英国人講師による英会話講座を開設し、ALTとの連携や小学校英語活動への基礎力の育成を図っています。
    さらに、海外から現職教員や大学院生を教員研修留学生や研究留学生として毎年受け入れ、院生が諸外国の現職教員と共に学ぶグローバルな学びの環境が整っています。

  • 本大学院キャンパスは、京都駅から15分圏内の交通至便な場所にあります。
    標準修業年限は2年ですが、現職教員のニーズにあわせて、1年間フルタイムで学ぶ短期履修型、勤務をしながら主に夜間の授業を履修し3年又は4年で修了する長期履修型など多様な修学方法が選択可能です。

教職者としての実践力向上と実務者養成に特化し、また制度設計においても多様な社会的要請に応えるための組織をもった新たな「教職大学院」の設置が必要とされています。そこで本大学院では学校(連携協力校)、その他の関連施設等を学びのフィールドとし、大学教員と多様な実務家教員との相互の連携・協働によって、理論と実践の融合を図り、教職の専門性を高めることで、複雑多様な教育課題に対応可能な専門的知識と実践的指導力を培います。本大学院で養成する教員は、継続的に研究と修養に努め、専門性の向上を図っていくなど、常に研鑽を積む姿勢を持つものであり、各教科内容の専門的知識や指導技術とともに、生徒指導・学級経営・学校経営などに重点を置いた、高度な職業的専門性を持った教員の養成をめざします。

以上に示す教職大学院を、京都教育大学を基幹大学とする連合参加大学(京都産業大学・京都女子大学・京都橘大学・同志社大学・同志社女子大学・佛教大学・龍谷大学)と学校(連携協力校)及び京都府・京都市教育委員会とが協働して、各機関が有している人的資源と蓄積している知的資源を最大限に活かすことができる連合方式の大学院を設置し、理論と実践の融合と図る新たな教育課程と授業方法を開発することで、教職大学院の魅力と可能性を最大限に発揮し、教育界に貢献します。

本大学院は多様なカリキュラムにより教職のプロフェッショナルを養成する専門職学位課程の大学院です。学校教育に携わるプロとして優れた専門性を発揮する資質の高い教員が社会から切望されるなか、京都の国私立8大学は、これに応えるべく各大学に集積された多彩な知的及び物資資源を結集し、さらに京都府・京都市両教育委員会及び学校と協働して、教育界の最高峰をいく教職大学院を平成20年4月に開設しました。

いま教壇に立つ教員に最も必要なものは何か。それは教員としての「自信」です。学術的理論に裏打ちされた確かな指導内容と指導技術、そして高い実践技能に加え、子どもたちや地域社会から寄せられる厚い信頼を得てはじめてプロ教員の自信は生れるのです。

学校教員は、ある時は小学低学年や高学年、思春期の中学生や高校生の心に立ち返り、ある時は保護者や一般社会人の心に戻るというように、子どもから大人に亘る様々な人々の心を正しく深く理解しなければなりません。教員は、いわば人生のタイムトンネルを自由に往来できる力を養う必要があります。教員の高い実践的指導力とはそのような特別の技量とも言うべき磨き抜かれた力から生まれるものでしょう。

本大学院は、そのような技量にいっそう磨きをかけるカリキュラムを構築し、その広さと深さの点において他に類を見ない全国のモデルになる教職大学院をめざすとともに、我が国の教育に大きく貢献する秀でた人材を輩出することをめざしています。

三つのポリシー
 ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)
 連合教職実践研究科では、教育の理論と教職の実践との架橋を通じて、教職に関する高度な専門的知識と実践的指導力を統合的に有する教員となるために、以下の能力を修得することを修了認定の基準とします。

1.教師として教育の現状や課題を多様な文脈から読み解く力と今後のあり方を
   構想する力
 2.教職に関する高度な専門的知見に基盤をおいた実践的指導力
 3.自己の職能を向上させるための実践に基盤をおいた自己省察力と研究開発力
   及び組織運営能力
 4.豊かな人間性、社会性と高い職業倫理にねざした職務遂行力

カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)
 連合教職実践研究科では、教育の理論と教職の実践との架橋を通じて、教職に関する高度な専門的知識と実践的指導力を統合的に有する教員を養成するために、以下の科目群による教育課程を編成しています。

1.教職について体系的・総合的に思考・判断する力を育成するために、
   共通必修科目として置かれる5領域10科目からなる「教職コア科目」群
 2.個々の課題意識をさらに深め、幅広い専門的知識に裏付けられた高い実践力を
   育成するために、選択科目として置かれる「専門科目」群
 3.学修の成果をまとめる力、教職専門職業人に求められる思考力、
   人間関係構築能力、組織運営能力等を育成するために、
   各コースの必修科目として置かれる「実践研究科目」群
 4.学校での実務的経験を通して教職の実際について理解を深めることで、
   教師に必要な人間性や社会性を養うとともに、倫理観を涵養するために、
   1年次と2年次とに分けて置かれる「実習科目」群

アドミッション・ポリシー(入学者受入れの方針)
 以下のような方の入学を期待しています。

1.教職に強い関心をもち、教育について思考し、学校づくりの一員として
   将来活躍しようとする者
 2.実践的な指導や授業を展開する前提となる、基礎的な知識・技能を身に
   つけている者
 3.自らの置かれた状況を客観的に判断して、周りの人たちと協働して主体的に
   課題を解決しようとする者
 4.教師として社会に貢献しようとする責任感と使命感をもち、教育の場で中核を
   担い得る者

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