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 【他教科の取り組み::情報】 第1年次のまとめ(情報) (2006.04.01)

 本年度より,教科情報では初めてSSHプロジェクトに参加した。初年度という事もあり,手探りの段階ではあるが,理科・数学との連携,高大連携,国際共同授業に関して取り組み,SSC(スーパーサイエンスクラブ)活動を実施した。

1.教科指導方針について
①理科・数学との連携によるデータ処理・分析能力の育成について
 1)理数系への橋渡しとなる表計算ソフトの徹底演習(資料1-1参照)
   情報Bの授業では表計算ソフトの利用頻度が多く,「問題解決」では簡単なデータを入力して関数によって計算,簡単な書式設定などをすることから始め,「情報の工夫」では,シートを複数使用したりするなどして再利用性を高めたり,並べ替えをして集計結果を見やすくするなどの操作を行わなければならない。さらに「モデル化とシミュレーション」では数式モデルを作成し,シートを作成し,グラフ化するなどの操作が必要となる。また,第2学年より開講される理科の物理,化学におけるモデリング実習や実験結果の計測・グラフ化に表計算を積極的に活用できる力をつけなければならない。
   情報Bの各単元における目標は表計算ソフトの使い方の習得が全てではないが,表計算ソフトの基本概念及び操作の理解は大変重要であるため,表計算ソフトの基本概念及び操作の理解,効率的な計算ができるよう表計算ソフトの徹底演習を授業で実施した。
   演習では,教科内の事前演習の枠にこだわらず,課外活動等にも表計算ソフトを活用ができるよう,アンケートの集計表,購入予定品の見積計算,体育祭の順位表,教室の座席表の作成といった身近なものから,三角関数表の作成,二次関数・三角関数での計算の結果をグラフ化するなど理数系などにも活きるようなものを題材とした。

実施内容(下表の太字の箇所が該当する)

第1回1.表計算ソフトの基本的な操作
・データの入力
・四則演算及びべき乗の計算
・複数のセルに入力された文字列の連結
・セルの書式設定
2.関数
・関数の書式
・引数とは
・SUM関数
・オートSUM
第2回1.見積書の作成
・単価*数量=金額の計算
・金額合計を求める(SUM関数)
・セルのコピー&貼り付け
2.スポーツテストの結果分析
・最大値・最小値・平均値を求める(MAX,MIN,AVERAGE関数)
第3回1.切り上げ・切り捨て・四捨五入の計算,剰余(余り)を求める
・ROUNDUP,ROUDDOWN,INT,MOD関数
2.体育祭の得点集計
・総得点を求める(SUM関数)
・順位を求める(RANK関数)
・絶対番地と相対番地の違い
第4回1.判定
・IF関数
2.
第5回1.入場料金の判定
・3つ以上の条件分岐(IF関数のネスト構造)
2.アンケートを集計する
・個数を求める(COUNTA,COUNTIF関数)
第6回2.リストを検索する
・VLOOKUP関数
・完全一致検索と近似値検索
・複数のシートを活用する方法
第7回1.関数表の作成
・0~360度におけるラジアン, sin , cos , tanの値
2.三角関数を利用した円の描画
・三角形の斜辺の長さから底辺の長さを計算(x = r * cosθ)
・三角形の斜辺の長さから高さを計算(y = r * sinθ)
・グラフの描画
第8回1.席替えが可能な座席表の作成
・乱数を発生させる(RAND関数)
・乱数をもとに座席番号を決定する(RANK関数)
・座席表に名前を表示する(VLOOKUP関数)

教師の感想
    表計算ソフトの操作方法,関数による計算の方法,グラフの描画方法など基本的概念は身につけることができたという点では成功したといえる。また,関数を利用した計算についても徹底演習を行ったため,次年度以降の理科の演習でも十分活用できる力をつけることができたと思う。
   次年度の課題
    理数系に必要な関数の説明及び理数系における表計算の具体的な利用法についての演習は授業時数の都合もあり,内容的にはやや少なくなってしまった。次年度は理数系との連携をより一層深め,モデリングやシミュレーションの演習を実施したい。

 2)数学B単元「数値計算とコンピュータ」の取り入れ(資料1-2参照)
   情報Bの単元「基本的な情報の処理」では,簡単なアルゴリズムの理解を目標とし,フローチャートの作成及びVisual Basicを利用したプログラミング演習を行った。
   文字列の入力・出力,1~4までの和の計算,整列(選択法,交換法)など情報Bの教科書の中にある題材だけでなく,素数の判定,平均値の計算,商と余りの計算など数学Bの「数値計算とコンピュータ」の内容も授業に盛り込んだ。また,大学センター試験数学ⅡBで採用されているN88-BASICとVisual Basicとの文法の違いなどにも触れた。(下表の太字の箇所が該当する)

第1回1.フローチャートの基本構造
・フローチャート記号の説明
・順次・分岐・反復構造のフローチャートの例
2.フローチャートの作成
・変数A,Bに値を入力して、A+Bの計算結果をXに代入し,Xの値を表示する
・変数A,Bに値を入力し,大きい方の値をXに代入し,Xの値を表示する
第2回1.フローチャートの作成
・変数Sumに1から100までの足し算の合計(Sumの値)を表示する
・変数Aに正の値を入力し続け(終了条件は、A ← -1),入力した値の中から最大値(変数Max)を表示する
・数値Xを入力し、数値Xが素数であるか否かを表示する
第3回1.プログラムの書式
・開始と終了
・変数宣言
・代入に使用する「=」の意味
・Inputbox命令
・Msgbox命令
・IF文
2.プログラムの作成
・変数A,Bに値を入力して、A+Bの計算結果をXに代入し,Xの値を表示する
・変数A,Bに値を入力し,大きい方の値をXに代入し,Xの値を表示する
第4回1.プログラムの書式
・For ~ Next文
・Do ~ Loop文
2.プログラムの作成
・変数Sumに1から100までの足し算の合計(Sumの値)を表示する
・変数Aに正の値を入力し続け(終了条件は、A ← -1),入力した値の中から最大 値(変数Max)を表示する
第5回1.プログラムの書式
・配列について
2.フローチャート・プログラムの作成
・5教科の評定を入力し評定平均値を計算する
・9教科の評定平均値を求めるプログラムに変更する
第6回1.整列のアルゴリズム
・選択法と交換法
・繰り返し(For ~ Next文)のネスト構造
2.選択法のフローチャート・プログラムの作成
第7回1.交換法のフローチャート・プログラムの作成
2.選択法と交換法の比較
・整列が完了するまでに必要な比較回数と交換回数を調べる
第8回1.N88-BASICについて(Visual Basicとの違い)
・書式の違い
・GOTO文について
・関数の違い
・四捨五入の方法
2.商と余りを求めるプログラム (大学センター試験問題)
・プログラムからフローチャートを作成する
・GOTO文による繰り返し構造をフローチャート化する

教師の感想
    「基本的な情報の処理」の授業の一部分に, 大学センター試験の数学ⅡBの選択問題として出題される「数値計算とコンピュータ」が取り込まれたことによって,多少の関心を生徒が示しはしたものの,実際は大学センター試験の受験時に「数値計算とコンピュータ」を選択するという生徒は現状としては少ない。
   次年度の課題
    アルゴリズムの理解とプログラミングの経験を積んでいれば,「数値計算とコンピュータ」で出題される問題は他の選択問題より解答が比較的容易であるため,より一層関心を集めるような授業内容にしていきたい。また情報技術者を目指す生徒のために,夏期休暇中に特別授業を実施することを検討したい(本年度は事前学習として平成17年8月3日にVisual Basic特別授業を実施)。

 3)情報理工学分野「迷路探索アルゴリズム」の取り入れ(資料1-3参照)
   プログラミングによって数値計算やデータ操作だけではなく,機械の制御も可能であることを学習できるよう,情報理工学分野の「迷路探索アルゴリズム」を「基本的な情報の処理」の授業に取り入れた。
   本来ならばロボットマウスを制作し,それを迷路探索アルゴリズムによって制御するといった内容となるのだが,時間・費用的に規模が大きくなるため, Visual Basicを利用した迷路探索シミュレーション(疑似体験)という形式とした。
   迷路探索アルゴリズムについて,右手法,拡張右手法,トレモー法,求心法を例示し,Visual Basicフォーム上のマウスを迷路探索アルゴリズムによって制御するためのフローチャート及びプログラムを作成し,実際にVisual Basicフォーム上の迷路をマウスに探索させるという学習内容とした。

第1
1.迷路探索のアルゴリズム
・迷路探索について
・右手法について
・条件分岐(IF文)のネスト構造
3.右手法による迷路探索フローチャートの作成
・「前進」,「右向く」,「左向く」の行動と「前は壁か?」,「右は壁か?」
 の判定のみで迷路の右壁を辿る
第2
1.右手法による迷路探索プログラムの作成
・SubプロシジャーとFunctionプロシジャーの違い
第3
1.拡張右手法による迷路探索プログラムの作成
・分岐の時に前に行ったことのある方向に仮想壁を作る
2.トレモー法による迷路探索プログラムの作成
・分岐の時に行った回数の少ない方向へ進む 1
第4
1.求心法による迷路探索プログラムの作成
・迷路の重みをつけ,数の少ない方向へ進む
2.二次元配列について

教師の感想
    「情報理工学」,「ロボットマウス」というキーワードを含んでいるため,生徒の関心度の高い授業内容となったが, ロボットを実際に制御する仕組みや,制御言語である「C言語」についてはあまり触れることがなかった。
   次年度の課題
    理科・数学の連携もしくは高大の連携によってロボットマウスの制作するといった話があれば違った展開が考えられたのではないかと思う。
    次年度はラジコンなど低コストの教材を探し,実際にC言語による制御の授業実施を検討している。

2.各課題の年次ごとの進展目標について
①国際性を育む方法の開発について
 1)タイ-日本間におけるテレビ会議システムを用いた遠隔共同授業の開発(資料2-1参照)
   SSC(スーパーサイエンスクラブ)の1つ「FLASHディジタルアニメーション制作」の活動のなかで,タイのチュラロンコン大学附属高等学校と本校との間でテレビ会議システム(Leadtek社製 IP TV電話)を用いた遠隔共同授業を平成18年2月27(月に行った。当日は英語によるFLASHディジタルアニメーションの作品発表及び意見交換が行われた。
   作品制作期間中は,タイ-日本間の生徒の交流を可能とするため,本校教科情報のウェブページにタイ-日本間ディスカッション用のウェブボード(電子掲示板)を設置し,タイ-日本側の自己紹介や作品の紹介,ディジタルアニメーション技術の意見交換を行えるようにした。
   掲示板で使用している言語はタイ側-日本側ともに英語であるため,遠隔共同授業と同様,英語コミュニケーション能力の育成につながる活動となった。

  共同授業の概要
   相手校:チュラロンコン大学附属高等学校(タイ・バンコク)
   日時:平成18年2月27日 17:00~18:30
   場所:コンピュータ教室
   内容:下表

17:00

17:10
生徒の紹介・チーム全員をカメラで写します
学校の紹介
・京都教育大学附属高校
・チュラロンコン大学附属高校
17:10

18:10
作品発表(8チーム9作品)
※日本側の発表時
(1)コンピュータ教室中央(プリンター前)に全員  並ぶ
(2)16号機でFLASH作品を再生する
(3)再生を終えたら紹介者は作品の紹介をする
 (英語)
※タイ側の発表時
以下の事項を発表の際に書き出しておく
(記入用紙を配布します)。
(1)作品の感想
・ストーリーについて
・登場キャラクタについて
・日本とタイとの作品の違いなど
(2) 質問事項
・ストーリーについて
・登場キャラクタについて
・ムービーで使われている技術について
18:10

18:30
意見交換・質疑応答※作品発表の際に記入した質問事項を基にして感 想や質問をする。
※タイ側から質問を受けたチームは回答をする。

教師の感想
   共同授業については,タイ-日本ともに1グループ単位(4~5名)ごとの交流が行われ,活発な意見交換が行われたが,開始時間が30分遅れるなどの理由で,当初予定していた時間(90分)には収まらず,のべ2時間の共同授業となった。
   インターネット回線を通した劣化した音声であるという事と,双方の英語の発音の問題から聞き取りが難しいという点で英語によるコミュニケーションについては少し難があったものの,本学院生の通訳により円滑に意見交換を行うことができた。
   しかしながら,今回の共同授業ではタイの本学院生が遠隔共同授業を組み立てられたという理由により,主言語がタイ語となってしまったため,タイ側主導で遠隔共同授業が進められた感がある。タイ側にも日本人の通訳者が居れば均衡がとれたのではないかと思う。
   ディスカッション用ウェブボードについては,タイ-日本ともに積極的に利用されており,国際的な意見交換をするためのツールとして有効であるということが分かった。
  次年度の課題
    教科情報のなかでテレビ会議システムを用いた遠隔共同授業が次年度実現するかどうかは,現在のところ白紙の状態であるが,少なくともウェブボードによる国際交流という形で継続的な活動ができないかどうか京都教育大学教育実践センターと連携して検討したい。また,他教科における国際交流や第2学年のマレーシア研修旅行の事前交流などに,ウェブボードによる国際交流を推進したいと思う。

②教科指導からの発展としての自主的創造活動の開発について
 1)京都教育大学院生・学生による探求的活動への支援開発
   院生2名,学生1名の作成した教科情報に関する意識調査アンケートを授業で実施し修士・卒業論文執筆の支援,また本学院生1名,学生1名の授業参観による授業研究の支援,さらにSSC(スーパーサイエンスクラブ)活動「FLASHディジタルアニメーション制作」において本学院生1名(タイ人)が活動に参加し, 本学京都教育大学実践センターとの連携による遠隔共同授業の研究支援をした。
  次年度の課題
    数人の院生および学生のアンケートをとったり,授業参観,TAとして活動していただくといった内容では,支援システムの開発をしたとは言えない。教育実習と同様,高大が連携する形での支援システムの開発をしていく必要がある。