記事一覧

 【理科の取り組み::生物】 第2年次まとめ(理科-生物) (2007.03.31)

1.目指す人間像
 小教科「生物」では,研究開発課題『国際性,論理性,創造性を兼ねそなえた科学技術研究・開発能力の基盤となる理科・数学教育ならびに指導者育成に関する研究開発』を達成するにあたり,研究の概要における(1)~(5)の下位課題(目標)を念頭に,目指す人間像を下記のように定めている。
 (1)科学技術立国「日本」をリードする研究者,技術者。
 (2)科学技術立国「日本」における科学・技術の社会におけるあり方や支援の可否を判断するに足る知識を有する市民。
 (3)科学技術立国「日本」を支える財政および法律関係者。

2.対象
 本年度の主な研究対象を第1学年全員とした。
 本研究開発の実施規模は,「1年生は全員,2年生・3年生は理科系進学希望者全員」であるが,研究2年次である2006年度も主な対象を第1学年全員としている。
 第2期SSHでは,第1期の成果を活かし,なおかつより幅広く社会における人材育成を目指している。したがって,文系・理系のコース選択が行われていない1年生を中心に取り組みを進めることで,目指す人間像の(2)や,特に文系コース選択者に含まれるであろう目指す人間像の(3)の育成につながると考えている。

3.方法
 次の2つの取り組みを実施するという方法をとっている。
(1)学校設定科目「生命科学Ⅰ」の実施
(2)SSC活動(科学クラブ)の実施
 なお,これらを実施するにあたっては,次の4つの理科の指導方針を念頭においた。
 ①外部の研究機関および製造現場との連携。
 ②高大接続の取り組み。
 ③国際性の導入。
 ④科学クラブの充実。

(1)学校設定科目「生命科学Ⅰ」の実施
 第1期SSHの成果を活かし,引き続き学校設定科目「生命科学Ⅰ」を実施した。第1期との変更点は,対象生徒を特定クラスから1年生全員としたことである。それに伴い実施単元および実習については変更を加えた。主な実施単元および実習については,年間指導計画表を参照されたい。また,平成19年度からは「生命科学Ⅱ」が開講されるので,その内容についての検討も順次行っている。

(2)SSC活動の実施
 1年生の希望者を対象に,課外活動として以下のSSC活動を実施した。
①シロアリを知ろう ~シロアリは人類を救うか~
②臨海実習
③ショウジョウバエの突然変異体の観察
④PCR法と電気泳動によるDNAの鑑定

4.評価
A.各SSC活動と理科指導方針および取り組みの特徴との関係にてらした評価
 (1)概観
  外部の研究機関との連携では,単発の取り組みであっても過去の年度において3回以上同様の取り組みを行い,内容の改善を積み重ねてきたもので,生徒の様子を理解していただいた上で実施されるようになった。今年度は,継続的取り組みや発表等につながったものは残念ながら見られなかった。今後新たに考えていく必要がある。また,高大接続の取り組みについても,今後の検討課題となっている。

 (2)各SSC活動について
  SSC活動の詳細を参照

 (3)課題
 ①「継続性」のみられる取り組みへの発展
   今年度は「継続性」の見られる取り組みへ発展しなかった。生徒の興味・関心をうまく引き出すことができなかったこと,さまざまな事情により教員側の対応ができなかった点が考えられる。適切なテーマの設定とそれを行う活動の拠点の確保を行った上で,継続した指導ができる指導者が必要となる。この点については,校内での対応を行うことはもちろん,従来から挙げられている京都教育大学との連携をさらに深める必要があると考える。
 ②「発表等の取り組み」への発展
   「継続性」のみられる取り組みへ発展させるには,発表の場を確保し,単発で終わらないような取り組みを考えていきたい。現在,3学期にSSH発表会が行われているが,さらに発表の場を提供できるよう模索していきたい。例えば,学年としての取り組みとして,学期に1回程度の発表会や月に1回程度の報告会を実施するなど,学年との連携によって「継続性」も得られることを期待したい。また,パネル展示によって報告していく方法にも取り組んでいきたい。

 (4)今後の取り組み
 ①目指す人間像の育成のための具体的目標の見直しと下位目標の設定
 ②京都教育大学をパートナーとしたSSC活動の展開
  a.琵琶湖のプランクトン図鑑の作成,環境と琵琶湖のプランクトンの消長調査(本学学生の卒業研究とのリンク)
  b.附属環境教育実践センターを利用した取り組み
 ③展示用パネルの作製
  これらの点については,構想はあるものの実施,実現には至っていない。

B.研究の概要における5つの課題にてらした評価
 以下,研究の概要における5つの課題について,年次ごとの進展目標(第二年次)に沿って評価を進める。
 (1)理科・数学教育を通じて豊かな国際性を育む方法の開発
  a イギリスでの日英サイエンスワークショップの企画・実施
    該当の取り組みなし。
  b 総合的な学習としての「マレーシア研修旅行」での自然観察などのフィールド学習の実施
    事前学習として調べ学習を行い,熱帯地方における生物相の特徴や見所となる生物をまとめたプリントを作成した。
  c 理科及び英語科との協同授業による授業開発
    該当する顕著な取り組みはないが,英語でプレゼンテーションにおいては,プレゼン対象となる理科実験の選定を行った。

 (2)高大接続に資するカリキュラムとシステムの開発
  a 大学の授業ヘスムーズに移行できる高校のカリキュラム開発。数学・物理・化学・生物領域の改善・開発
    生命科学Ⅰを実施した。
    第2期SSHで実施している生命科学Ⅰおよび生命科学Ⅱが大学の授業へスムーズに移行できるものかの検証は,完成年度を経て実施する必要がある。また,興味関心を高めるものであったかどうかについては,教科アンケートの分析を行いたい。
  b 第一次SSHで実績のある同志社大学等との連携講座を通じたAO入試開発
    該当の取り組みなし。
  c 京都教育大学との特別推薦入試研究開発
    該当の取り組みなし。
  d 京都大学,京都工芸繊維大学等との接続教育の開発
    該当の取り組みなし。

 (3)より継続的なパートナーとしての大学ならびに外部機関との連携のあり方の開発
  a 国際性の涵養の領域では,第1次SSHの成果をもとに連携機関の開発と関係拡大に取り組む。
    該当の取り組みなし。
  b 高大接続,課題研究の領域では,第1次SSHの成果をもとに開発
  (ア)SSC活動①で,京都大学生存圏研究所の吉村研究室への継続的訪問につながるような見学・研修を意図したが,継続性のみられる取り組みには至っていない。
  (イ)SSC活動②で,京都大学フィールド科学教育センター舞鶴水産実験所において臨海実習を実施した。1年生全体に呼びかけ,参加者を選抜した結果,より一層熱心な取り組みが見られた。
  (ウ)SSC活動③で,京都工芸繊維大学遺伝資源センターへの継続的訪問につながるような見学・研修を意図したが,単発の企画に終わっている。実施時期の関係で,事前・事後学習会が十分にできなかったことが原因の一つと考えられる。内容的には採集を中心としたフィールドワーク,突然変異体の観察を中心に実施し,継続的な取り組みを行いやすいので,今後の研究課題としていきたい。
  (エ)SSC活動④で,京都工芸繊維大学工芸繊維学部森研究室を訪問し,PCR法と電気泳動を中心にDNA鑑定の基礎を学んだ。昨年度同様に多人数のスタッフに参加していただき,実習作業を通して生徒と研究者のコミュニケーションの活性化を目指した。コミュニケーションは昨年度以上に活発に行われた。毎年の実施に伴い,大学スタッフがさまざまな点(生徒の現状等)を配慮しながら指導されるようになったことが影響していると思われる。
  d 教員養成の領域では,本学との具体的研究課題を設定
    該当の取り組みなし。

 (4)教科指導からの発展としての自主的創造的活動の開発
  a 京都教育大学附属環境教育実践センターでの長期にわたる観察・実習の開発
    該当の取り組みなし。
  b 京都教育大学院生・学生や第一次SSH対象の卒業生による探究的活動への支援
    SSC活動②では,2年生による1年生の探求活動への支援を今年度も実施した。生徒の指導力育成も目指した。支援生徒は,実習課題の意図を指導者の立場から理解する経験をし,その結果率先して引率教員の補助にあたることができた。
  c 複数教科による共同授業をもとにした科学技術の広い分野への応用的学習の開発
    該当の取り組みなし。
  d 生物オリンピック・化学オリンピック・物理オリンピック・数学オリンピックへの参加
    2年生1名が,生物オリンピックにて予選4位。日本代表を決める本選に出場予定。

 (5)今日的課題を解決する力を有する理科・数学教員の養成プログラム開発
  a 京都教育大学院生・学生がSSHの授業にTA等として参加し,教育現場における良質な探究学習・探究活動の実践に参加するプログラムの開発
    該当の取り組みなし。
  b 京都教育大学院生・学生がリーダー的存在として生徒とともに継続的な課外の探究活動を行うシステムの開発
    小教科「生物」では,特定のテーマの継続的SSC活動の指導を本学学生が行うことによって,卒業論文のテーマにつながる可能性があるのではないかと考えている。本年度も「琵琶湖のプランクトンの観察」を生命科学Ⅰで実施しているが,昨年は2年次以降につなげることができなかった。SSC活動として「琵琶湖のプランクトン図鑑作成」や「環境と琵琶湖のプランクトンの消長」等の実施につなげていきたいと考えている。
  c 教員養成の領域では,本学との具体的研究課題を設定
    該当の取り組みなし。

内     容主な実習
1学期序部1.細胞の探求
2.探究活動のすすめ
第1部  生物体の構造と機能第1章   細胞の構造第1節 生命の単位=細胞顕微鏡の使い方
双眼実体顕微鏡の使い方
ミクロメーターの使い方
細胞の観察
第2節 細胞の構造
第3節 原核生物と真核生物
第2章   細胞の機能第1節 細胞膜と物質の出入り原形質分離の観察
カタラーゼと二酸化マンガン(演示) 
ウミホタルの発光・ルシフェラーゼ
第2節 細胞と酵素反応
第3章  細胞の増殖と生物体の構造第1節 細胞分裂体細胞分裂の観察
細胞群体の観察
ゾウリムシの観察 疎水プランクトン観察
★シロアリ(京大)
第2節 細胞の多様化
第3節 単細胞生物と多細胞生物
第4節 多細胞生物の構造
第2部  生命の連続性第1章  生殖第1節 無性生殖と有性生殖減数分裂の観察
第2節 減数分裂
第3節 植物の生殖
第4節 動物の生殖
夏季休業中 ★臨海実習
★ショウジョウバエの突然変異体の観察(京都工繊大遺伝資源センター)
2学期第2章  発生第1節 発生の過程ウニの発生の観察
第2節 発生のしくみ
第3章  遺伝第1節 遺伝の法則唾液腺染色体の観察
ショウジョウバエの突然変異の観察            
第2節 さまざまな遺伝
第3節 遺伝子と染色体
第4節 性と遺伝
第5節 連鎖と組換え
第6節 遺伝子の本体
第3部  環境と動物の反応第1章  刺激の受容と反応第1節 神経 ブタの眼球の解剖
盲斑の検出
シロアリの走化性
★DNA鑑定(京都工繊大)
第2節 刺激の受容
第3節 効果器
3学期第4節 神経系
第5節 動物の行動
第2章  体液と恒常性第1節 体液とその環境★免疫に関わる細胞(教育大)予定
第2節 肝臓と腎臓の働き
第3節 ホルモンと自律神経による調節
未実施第4部  環境と植物の反応第1章  植物の生活と環境第1節 水分の吸収と移動モーリッシュの死環
第2節 光合成と環境要因
第2章  植物の反応と調節第1節 成長の調節
第2節 発芽の調節
第3節 植物の花芽の形成
第4節 植物の一生と環境

学校設定科目「生命科学Ⅰ」主な実施単元および実習

 【理科の取り組み::生物】 第1年次のまとめ(理科-生物) (2006.03.31)

1.目指す人間像
 小教科「生物」では,研究開発課題『国際性,論理性,創造性を兼ねそなえた科学技術研究・開発能力の基盤となる理科・数学教育ならびに指導者育成に関する研究開発』を達成するにあたり,研究の概要における(1)~(5)の下位課題(目標)を念頭に,目指す人間像を下記のように定めた。

(1)科学技術立国「日本」をリードする研究者,技術者。
(2)科学技術立国「日本」における科学・技術の社会におけるあり方や支援の可否を判断するに足る知識を有する市民。
(3)科学技術立国「日本」を支える財政および法律関係者。

2.対象
 本年度の主な研究対象を第1学年全員とした。
 本研究開発の実施規模は,「1年生は全員,2年生・3年生は理科系進学希望者全員」であるが,研究1年次である平成17年度は,主な対象を第1学年全員とした。
 第1期SSHにおいて目指す人間像は(1)であった。また,その研究課題は,人材育成のための教材開発とノウハウの他校への普及であった。第2期SSHでは,第1期の成果を活かし,なおかつより幅広く社会における人材育成を目指している。したがって文系・理系のコース選択が行われていない1年生を中心に取り組みを進めることで,目指す人間像の(2)や,特に文系コース選択者に含まれるであろう目指す人間像の(3)の育成につながると考えた。

3.方法
 次の2つの取り組みを実施するという方法をとった。
(1)学校設定科目「生命科学Ⅰ」の実施
(2)SSC活動(科学クラブ)の実施
 なお,これらを実施するにあたっては,次の4つの理科の指導方針を念頭においた。
 ①外部の研究機関および製造現場との連携。
 ②高大接続の取り組み。
 ③国際性の導入。
 ④科学クラブの充実。

(1)学校設定科目「生命科学Ⅰ」の実施
 第1期SSHの成果を活かし,引き続き学校設定科目「生命科学Ⅰ」を実施した。第1期との変更点は,対象生徒を特定クラスから1年生全員としたことである。それに伴い実施単元および実習については変更を加えた。主な実施単元および実習については,後載の表「学校設定科目『生命科学Ⅰ』主な実施単元および実習」を参照。

(2)SSC活動の実施
 1年生の希望者を対象に,課外活動として以下のSSC活動を実施した。各活動については,第Ⅲ部に詳述する。
シロアリを知ろう ~シロアリは人類を救うか~    
臨海実習
お酒に強いショウジョウバエと弱いショウジョウバエ  
土壌生物の採集と観察
⑤日英SW in 筑波 校内事前学習会          
DNA鑑定

4.評価
 次の2つの側面から評価を試みる。
A.各SSC活動と理科指導方針および取り組みの特徴との関係にてらした評価
B.研究の概要における5つの課題にてらした評価

A.各SSC活動と理科指導方針および取り組みの特徴との関係にてらした評価

(1)概観
 下表は,各SSC活動と,理科指導方針および取り組みの特徴との関係を示したものである。

ファイル 85-1.jpg

  ①外部の研究機関および製造現場との連携では,単発の取り組みであっても過去の年度において3回以上同様の取り組みを行い,内容の改善を積み重ねてきたものや生徒の様子を理解いただいていると思われるものに◎を付した。②高大接続の取り組みでは,今後そのような取り組みの基礎としての見込みを持っているものに○を付した。継続性では,生徒自らが新しいテーマを見いだし継続をしているものに◎を付した。
  第1期SSHの経験から,我々は数多くの外部研究機関および製造現場との連携が可能である。本年度はそれらの中から継続的取り組みや発表につなぐための指導の見通しがもてるものを精選したつもりであった。しかし継続的な取り組みや発表等の取り組みにつながるものが①シロアリを知ろう,のみとなった。

(2)各SSC活動について
シロアリを知ろう  
この取り組みに関して,この3年間で内容は大きく変更してきた。以前は,1年次の早い時期に研究現場を訪問すること自体を目的としており,生存圏研究所の中の旧木質科学研究所をひととおり見学していた。しかし本年度は特定のテーマを中心に扱っていただくことにした。現在,自ら新しいテーマを見つけ,それを研究するための方法を模索中であるなど継続的な取り組みを生徒は行なっている。今後は活動の拠点が外部となる方向も検討したい。なお,具体的内容は未定であるが吉村研究室は,協力いただける意向である。

臨海実習
 昨年度はウニの発生のビデオ撮影など発表を目的とした目標設定があった。今年度は特に継続的あるいは発表等につながる取り組みの働きかけは行えなかった。むしろ1学期を締めくくるイベントとして位置づけ,1年生には入学直後から事前指導に入り,入学後の第1学年のSSHの活性化に寄与する可能性を探りたい。

お酒に強いショウジョウバエと弱いショウジョウバエ  
 昨年度はSSH事業ではなく,京都工芸繊維大学主催の事業として,学年を問わず15名の希望者で参加をさせた。採集方法やショウジョウバエ属の同定法など自前でショウジョウバエを準備する方法を中心に据え,昨年度実施されたDNA分析はあえて行わなかった。2学期に実施するメンデル遺伝の単元終了後に,校内を活動拠点としてDNA分析をテーマとした継続活動につなげたいと考えたからである。しかし,教員の都合で実施には至らなかった。

土壌生物の採集と観察
 京都教育大学は,第1期SSHの新入生オリエンテーションで3年間お世話になっている。第2期SSHではSSC活動の一環として単独テーマを設定し実施した。土壌生物を中心に生態学や形態学を学んだ。生命科学において遺伝子レベルの扱いが多くなる中,生物学をマクロ的視野で捉える力の育成も必要であり,その効果は十分に得られた。今後,継続活動につなげたいと考えているが,現在実施には至っていない。

⑤日英SW in 筑波 校内事前学習会(評価は日英SWの項に譲る。)

DNA鑑定
 京都工芸繊維大学は,第1期SSHにおいて遺伝子組換え実験を中心とした研修で3年間お世話になっている。今年度はDNA鑑定をテーマに実施した。PCR法は機器を使用することが多い中,生徒自身が実際に体を動かしながら体感することができた。DNA鑑定については本年度初めての実施であったが,事前学習を行ない,十分な理解を得られた。工芸繊維大学では継続実施しているので,院生や学生によるTAも慣れており,生徒への対応もスムーズに行えた。遺伝子に関する継続的な活動は校内では実施できていないが,大学へ定期的に出向くなどの活動を検討する必要がある。

(3)課題
①目標分析
 目指す人間像の育成のために,理科では4つの項目を念頭において事業の企画を進めた。しかしこれら4つの項目を見直すと同時に,その概念の包含関係を明確にする必要がある。また,表『各SSC活動と,理科指導方針および取り組みの特徴との関係』の「継続性」,「活動拠点」,「発表等の取り組み」に見られるような,目指す人間像育成のために,各SSC活動が備えるべき特徴を今後数多く抽出し,包含関係を明確にする必要がある。さらに,たとえば「継続性」において,自ら新しいテーマを見つけ継続して研究する,現在のテーマを継続して研究する,のように評価の指標を明確にする必要がある。

②「継続性」のみられる取り組みへの発展
 「継続性」のみられる取り組みへ発展していない原因の一つは,対応できる教員に限りがあるからでもある。活動の拠点が「校内」である場合は,継続した指導が期待できる指導者が必要である。また,「校外」である場合は,生徒が下校途中に立ちよれる場所が望ましい。これらの両方の必要条件を満たしているものとして京都教育大学との連携をさらに深める必要がある。

③「発表等の取り組み」への発展
 「継続性」のみられる取り組みへ発展していない原因の一つは,対応できる教員に限りがあることもそうであるが,気軽に発表できる場がないということもある。前者の人的課題は②で述べた方法を模索したい。後者については,学年の支援を得て学期に1回程度学年での発表会を催す。あるいは不定期に月に数回程度,SHRで報告会を実施するなど学年としての取り組みの方向も期待したい。また,パネル展示などの形で都合のつく時期に作製し展示,報告をするという方法に取り組みたい。
    たとえば,文化祭という場では,複数の活動の指導は困難である。筆者の例を挙げれば,クラスの指導,教科の展示,シロアリクラブの指導が重なった。オープンキャンパスであれば,中学生のための模擬授業の準備,シロアリクラブの指導が重なった。運営指導委員会であれば,総括の作製とシロアリクラブの指導が重なった。

(4)今後の取り組み
①目指す人間像の育成のための具体的目標の見直しと下位目標の設定
②京都教育大学をパートナーとしたSSC活動の展開
a.琵琶湖のプランクトン図鑑の作成,環境と琵琶湖のプランクトンの消長(本学学生の卒業研究とのリンク)
b.附属環境教育実践センターを利用した取り組み
③展示用パネルの作製

B.研究の概要における5つの課題にてらした評価
  以下,研究の概要における5つの課題について,年次ごとの進展目標(第一年次)に沿って評価をし,本年度取り組んだものについて記載する。

(1)理科・数学教育を通じて豊かな国際性を育む方法の開発

イギリスでの日英サイエンスワークショップの企画・実施
SSC活動⑤で一部を担った。学習会に参加した生徒は,SW終了後,大変役に立ったと評価した。

(2)高大接続に資するカリキュラムとシステムの開発
大学の授業ヘスムーズに移行できる高校のカリキュラム開発
数学・物理・化学・生物領域の改善・開発
生命科学Ⅰを実施した。
第1期SSHで実施した生命科学Ⅰおよび生命科学Ⅱが大学の授業へスムーズに移行できるものであるかどうかについて,平成16年3月に卒業した生徒に対する検証は実施していない。したがって,今年度実施した生命科学Ⅰが検証されたものではない。
興味関心を高めるものであったかどうかについては,年度末の教科アンケートの結果を待ちたい。

(3)より継続的なパートナーとしての大学ならびに外部機関との連携のあり方の開発
高大接続,課題研究の領域では,第1次SSHの成果をもとに開発

(ア)SSC活動①で,京都大学生存圏研究所の吉村研究室への継続的訪問につながるような見学・研修を意図したが,高校内での継続的研究に終わっている。
(イ)SSC活動②で,京都大学フィールド科学教育センター舞鶴水産実験所において臨海実習を実施。第1期SSHの内容をそのまま実施したが,1年生全員に呼びかけ,参加希望者の中から参加者を選抜した結果,より一層熱心な取り組みが見られた。
(ウ)SSC活動③で,京都工芸繊維大学遺伝資源センターへの継続的訪問につながるような見学・研修を意図したが,単発の企画に終わっている。実施時期の関係で,事前・事後学習会が十分にできなかったことが原因の一つと考えられる。
(エ)SSC活動④で,京都教育大学松良研究室を訪問し,土壌生物の採集と観察を実施した。継続して活動できるような内容であったが,単発の企画に終わっている。他の研究室での研修は現在未実施であり,今後活発化していきたい。高大接続につながる研修も検討が望まれる。
(オ)SSC活動⑥で,京都工芸繊維大学工芸繊維学部森研究室を訪問し,DNA鑑定を実施した。昨年度までと同様に多人数のスタッフに参加していただき,実習作業を通して生徒と研究者のコミュニケーションの活性化を目指した。昨年度の第1期SSH3年生で実施した内容と同様の内容を行ったが,コミュニケーションは昨年度以上に活発に行われた。毎年の実施に伴い,大学スタッフの慣れも影響していると思われる。

(4)教科指導からの発展としての自主的創造的活動の開発
京都教育大学院生・学生や第1次SSH対象の卒業生による探究的活動への支援
 SSC活動②では,卒業生ではないが,第1期SSH対象在校生(2年生)による探求活動への支援を今年度も実施し,生徒の指導力の育成も目指した。支援生徒は,実習課題の意図を指導者の立場から理解する経験をし,その結果率先して引率教員の補助にあたることができた。

(5)今日的課題を解決する力を有する理科・数学教員の養成プログラム開発
京都教育大学院生・学生がリーダー的存在として生徒とともに・継続的な課外の探究活動を行うシステムの開発
 小教科「生物」では,特定のテーマの継続的SSC活動の指導を本学学生が行うことによって,卒業論文のテーマにつながる可能性があるのではないかと考えている。本年度は「琵琶湖のプランクトンの観察」を生命科学Ⅰで実施し,2年次以降にSSC活動仮題「琵琶湖のプランクトン図鑑作成」,「環境と琵琶湖のプランクトンの消長」等の実施につなげたいと考えている。

学校設定科目「生命科学Ⅰ」主な実施単元および実習

ファイル 85-2.jpg
※クリックで拡大

 【理科の取り組み::生物】 1年生の授業 (2006.02.09)

酸素ヘモグロビンの割合と酸素分圧の関係について,黒板や教材提示装置を用いた授業を行っています。
またpHとHbO2の割合の関係も説明。

ファイル 45-1.jpg

同じ時間に別の講座では,魚類の浸透圧調節について授業。
集中力ある附属高生の授業態度。

ファイル 45-2.jpg

ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ

過去の記事一覧