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 【理科の取り組み::物理】 第2年次のまとめ(理科-物理) (2007.03.31)

1.教科指導方針について
①外部の研究機関および製造現場との連携
 3年SSHクラス(3年1組)全員を対象に高輝度光科学研究所(Spring8)の見学を実施した。
 3月2日に本校多目的ホールで,2年生理科系生徒(130名)を対象に,京都大学教授伊藤秋男先生に地球を支える量子ビームの科学,イオン・電子・X線・レーザーのテーマで2時間の講演を実施する。

②高大接続
 3年1組の探求実験では,京都教育大学の先生の指導をいただき,TAとして大学生,大学院生の協力を得て実施した。

③国際性の導入
 日英サイエンスワークショップに参加したイギリスの高校の先生と,物理のカリキュラムに関してメールでの情報交換を行った。

④科学クラブの充実 (詳細はSSCの活動の記録参照)
 1)6月に科学と工作前期
 2)9月~1月に物理実験入門
 3)11月~2月に科学と工作後期

2.各課題の年次ごとの進展目標
(ア)「理科・数学教育を通じて豊かな国際性を育む方法の開発」
  教科指導方針参照。
(イ)「高大接続に資するカリキュラムとシステムの開発」
  教科指導方針参照。
(ウ)「より継続的なパートナーとしての大学ならびに外部機関との連携のあり方の開発」
  教科指導方針参照。
(エ)「教科指導からの発展としての自主的創造的活動の開発」
  今後,開発を進めていきたい。
(オ)「今日的課題を解決する力を有する理科・数学教員の養成プログラム開発」
  今後,開発を進めていきたい。
(カ)「成果の公開・共有,評価・検証と研究内容改善への取り組み」
  特になし。

 【理科の取り組み::地学】 第2年次の取り組み(理科-地学) (2007.03.31)

1.教科指導方針について 
①外部の研究機関および製造現場との連携
 国立天文台,美星町の天文台,綾部天文台など,諸機関研修会への参加を検討する。京都市科学センターの利用も検討する。
 情報の入手が遅いため,参加等できなかった。今後は,期日等も確認しできるだけ早く情報収集する必要がある。科学センターの利用も今年は,天体観測を重視し,時間を設定することができなかった。

②高大接続
 ATとして京都教育大学大学生と大学院生の協力を得た。

③国際性の導入
 インターネット等で情報を収集する。国際天文学会等の資料を収集する。

④科学クラブの充実
 5月から2月まで月1~3回行った。(SSC活動記録参照)

2.各課題の年次ごとの進展目標
(ア)「理科・数学教育を通じて豊かな国際性を育む方法の開発」
  天文に関する国際的な研究成果なども調べて,成果も含めた内容を学ぶ
(イ)「高大接続に資するカリキュラムとシステムの開発」
  今後検討する。
(ウ)「より継続的なパートナーとしての大学ならびに外部機関との連携のあり方の開発」
  ATとして,今年は教育大学の学生と院生に協力いただいた。今後は京大の理学部に所属する専門の知識のある学生や院生の協力も検討したい。
(エ)「教科指導からの発展としての自主的創造的活動の開発」
  天体や天気に興味を持たせ。自宅で双眼鏡での天体観察や天気図などの作成などの活動することを目指したい。
(オ)「今日的課題を解決する力を有する理科・数学教員の養成プログラム開発」
  地学分野の知識をしっかり身につけ,実習を行うように指導をする。
(カ)「成果の公開・共有,評価・検証と研究内容改善への取り組み」
  継続的に観測を続ける体制はできたので,今後は,しっかりと目的をもった天体観測をできるように指導と,機器の整備を進める。

 【理科の取り組み::化学】 第2年次のまとめ(理科-化学) (2007.03.31)

1.教科指導方針について
①外部との研究機関および製造現場との連携
  第2期SSHの活動として本年度に実施した事業は次の通りである。すべてSSC活動として希望者を対象に実施。(詳細はSSC活動報告参照)

 平成18年度実施した事業
  1)「透過型電子顕微鏡(TEM)で原子を見る」 京都教育大学
  2)「X線マイクロアナライザー(XMA)による元素分析」 京都教育大学
  3)「鉛蓄電池工場見学」 ㈱ジーエス・ユアサ コーポレーション
  4)「製鉄所見学」 ㈱神戸製鋼所加古川製鉄所
  5)講演「光で遊ぶ金ナノ粒子」 大阪大学,日本学術振興会

②高大接続
  京都教育大学の学生と本校生徒でグループをつくり,1つのテーマについて継続的な探究活動を実施することを考えたが,今年度の実施には至らなかった。

③国際性の導入
  日本学術振興会の「サイエンス・ダイアログ事業」を活用し,外国人研究者の話を聞く機会を設けた。(詳細はSSC活動報告参照)
  日英サイエンスワークショップを実施。(詳細は日英サイエンスワークショップ報告参照)
  日英サイエンスワークショップの参加校であったイギリスの高校と理科の教員間での交流を開始した。現在はそれぞれのカリキュラムや現在実施している実験について情報交換している段階であるが,今後も継続し,1つのテーマを見つけて共同研究などに発展させていくことができればと思う。
  英語科との共同授業については今年度は実施できなかった。一昨年の反省を元に来年度は少しでも実現したい。

④科学クラブの充実
  ①で記した事業以外で,本校内で実施した科学クラブの活動は次の通りである。すべてSSC活動として希望者を対象に実施。草木染めについては,2名が継続して発展的に実験を続け,その成果を校内のSSC活動生徒発表会で発表した。(詳細はSSC活動報告参照)
  1)青銅鏡作り
  2)草木染め
  3)超伝導体の作成
 
2.各課題の年次ごとの進展目標について
 (ア)「理科・数学教育を通じて豊かな国際性を育む方法の開発」
   教科指導方針・国際性の導入参照
 (イ)「高大接続に資するカリキュラムとシステムの開発」
   教科指導方針・高大連携参照
 (ウ)「より継続的なパートナーとしての大学ならびに外部機関との連携のあり方の開発」
   教科指導方針・高大連携参照
 (エ)「教科指導からの発展としての自主的創造的活動の開発」
   SSC活動の「草木染め」において,本学大学院生および本校卒業生がTAとして継続的に探求的活動の支援を行った。(SSC活動報告参照)
   また,校内のSSC活動や日英サイエンスなどの報告会などによって,多くの生徒の科学への関心が高まったためか,大学や企業等の化学に関する実験教室への参加,サイエンスキャンプ等の研修会への参加が増えてきた。また,化学オリンピックには1名が参加した。今後も様々な企画の考案や大学や研究所の実験教室や講演会等の積極的な呼びかけを行っていきたい。
 (オ)「今日的課題を解決する力を有する理科・数学教員の養成プログラム開発」
   教育大学での実習やその事前学習を大学生に指導させることなどを考えていたが,今年はその研究室に所属する学生が少なかったこともあり,実現できなかった。しかし,本校で放課後に実施したSSC活動においては,TAとして教育大院生,京都工芸繊維大生(本校卒業生)の2名の協力を得た。今後の実験の方向性を生徒と共に考え,適切なアドバイスを与え,生徒発表会のプレゼンテーションの指導まで熱心に行った。10月以降,教育実習を終えた教育大生にSSC活動「鉛蓄電池工場見学」「製鉄所見学」への参加を呼びかけたが,残念ながら今年度は参加者はなかった。来年度以降は教育大生と本校生徒が共に,興味を持った課題について共同研究し,その成果を発表する機会を設けることなどを現在考案中である。
 (カ)「成果の公開・共有,評価・検証と研究内容改善への取り組み」
   特になし

学期単元主な実験・実習
教師による演示生徒実験SSC活動
1学期物質の構成物質の分類・成分KIO3,マロン酸などの振動反応化学実験の基本操作(CuSO4・5H2Oを用いた化学変化)
ワインの蒸留
マジックのペーパークロマトグラフィー
ヨウ素の抽出(ヘキサン)・昇華
硝酸銀の沈殿反応
炎色反応の観察
物質の構成粒子・原子・分子・イオン電解質水溶液の電気伝導性透過型電子顕微鏡(TEM)で原子を見る〔京都教育大学〕
希ガスの安定性(Heガスによる変声)
NaCl,CuSO4,方解石,カリミョウバンの単結晶の観察青銅作り
物質の構造化学結合ドライアイスの性質(電子レンジによる加熱など)
極性分子の性質(ビュレットからヘキサン、水を流出)走査型電子顕微鏡(SEM)で元素分析〔京都教育大学〕
物質の構成物質量・反応式オレイン酸の単分子膜法によるアボガドロ数の測定モル濃度の溶液の調整
圧電素子を用いたエタノールの爆発草木染①
物質の変化化学反応と熱テルミット反応
使い捨てカイロの原理中和熱の測定(ヘスの法則:温度センサーを用いた測定とデータ処理)
濃硫酸と尿素の溶解熱,水酸化バリウムと塩化アンモニウムの吸熱反応(水が凍る)
酸と塩基紫キャベツを使って呈色反応
pHの測定(pHメーター、万能pH指示薬)中和滴定,食酢の定量
酸と金属の反応
夏期休業超伝導酸化物の作成超伝導酸化物の作成
草木染に関する課題研究草木染②(~1月末まで)
2学期物質の変化酸化還元反応主な酸化剤と還元剤の反応酸化還元滴定
ボルタ電池・ダニエル電池・マンガン乾電池
鉛蓄電池鉛蓄電池工場の見学〔ジーエスユアサコーポレーション〕
金属の水溶液と金属の反応(金属樹)
水溶液の電気分解
Niめっき
無機物質周期表と元素の性質
非金属元素の単体と化合物塩素の発生と性質、塩素系漂白剤と酸性洗剤ハロゲンの単体と化合物の性質
液体窒素(Br2管、Cl2管、O2、テニスボール)硫黄の同素体
酸素の発生と性質硫酸の性質
アンモニアの反応(ネスラー試薬、濃塩酸)ケイ酸ナトリウムとケイ酸
黄リンの反応(自然発火)
銅と濃硝酸、希硝酸の反応、NOとO2の反応
金属元素の単体と化合物リチウムとナトリウムの反応アルカリ金属とアルカリ土類金属の単体と化合物の性質
黄銅作りアルミニウムと亜鉛(両性元素)の単体と化合物の性質
鉄は生きている(視聴覚教材)
クロム酸イオンと二クロム酸イオン金属イオンの反応
未知試料金属イオンの分離と確認
冬期休業製鉄所見学             〔神戸製鋼加古川製鉄所〕
3学期有機化合物有機化合物の特徴と構造
炭化水素メタン、エチレンの製法と反応アルカン・アルケン・アルキンの性質
シャボン玉に点火(メタン、ブタン)
酸素含む有機化合物アルコールの水溶性とNaとの反応
ホルムアルデヒドの製法と性質カルボニル化合物
ヨードホルム反応エステルの合成
カルボン酸の性質(酢酸、ギ酸、マレイン酸、フマル酸)
高級脂肪酸の性質(水溶性、臭素との反応)セッケンと合成洗剤の合成と性質
芳香族化合物ベンゼンの性質

 【理科の取り組み::生物】 第2年次まとめ(理科-生物) (2007.03.31)

1.目指す人間像
 小教科「生物」では,研究開発課題『国際性,論理性,創造性を兼ねそなえた科学技術研究・開発能力の基盤となる理科・数学教育ならびに指導者育成に関する研究開発』を達成するにあたり,研究の概要における(1)~(5)の下位課題(目標)を念頭に,目指す人間像を下記のように定めている。
 (1)科学技術立国「日本」をリードする研究者,技術者。
 (2)科学技術立国「日本」における科学・技術の社会におけるあり方や支援の可否を判断するに足る知識を有する市民。
 (3)科学技術立国「日本」を支える財政および法律関係者。

2.対象
 本年度の主な研究対象を第1学年全員とした。
 本研究開発の実施規模は,「1年生は全員,2年生・3年生は理科系進学希望者全員」であるが,研究2年次である2006年度も主な対象を第1学年全員としている。
 第2期SSHでは,第1期の成果を活かし,なおかつより幅広く社会における人材育成を目指している。したがって,文系・理系のコース選択が行われていない1年生を中心に取り組みを進めることで,目指す人間像の(2)や,特に文系コース選択者に含まれるであろう目指す人間像の(3)の育成につながると考えている。

3.方法
 次の2つの取り組みを実施するという方法をとっている。
(1)学校設定科目「生命科学Ⅰ」の実施
(2)SSC活動(科学クラブ)の実施
 なお,これらを実施するにあたっては,次の4つの理科の指導方針を念頭においた。
 ①外部の研究機関および製造現場との連携。
 ②高大接続の取り組み。
 ③国際性の導入。
 ④科学クラブの充実。

(1)学校設定科目「生命科学Ⅰ」の実施
 第1期SSHの成果を活かし,引き続き学校設定科目「生命科学Ⅰ」を実施した。第1期との変更点は,対象生徒を特定クラスから1年生全員としたことである。それに伴い実施単元および実習については変更を加えた。主な実施単元および実習については,年間指導計画表を参照されたい。また,平成19年度からは「生命科学Ⅱ」が開講されるので,その内容についての検討も順次行っている。

(2)SSC活動の実施
 1年生の希望者を対象に,課外活動として以下のSSC活動を実施した。
①シロアリを知ろう ~シロアリは人類を救うか~
②臨海実習
③ショウジョウバエの突然変異体の観察
④PCR法と電気泳動によるDNAの鑑定

4.評価
A.各SSC活動と理科指導方針および取り組みの特徴との関係にてらした評価
 (1)概観
  外部の研究機関との連携では,単発の取り組みであっても過去の年度において3回以上同様の取り組みを行い,内容の改善を積み重ねてきたもので,生徒の様子を理解していただいた上で実施されるようになった。今年度は,継続的取り組みや発表等につながったものは残念ながら見られなかった。今後新たに考えていく必要がある。また,高大接続の取り組みについても,今後の検討課題となっている。

 (2)各SSC活動について
  SSC活動の詳細を参照

 (3)課題
 ①「継続性」のみられる取り組みへの発展
   今年度は「継続性」の見られる取り組みへ発展しなかった。生徒の興味・関心をうまく引き出すことができなかったこと,さまざまな事情により教員側の対応ができなかった点が考えられる。適切なテーマの設定とそれを行う活動の拠点の確保を行った上で,継続した指導ができる指導者が必要となる。この点については,校内での対応を行うことはもちろん,従来から挙げられている京都教育大学との連携をさらに深める必要があると考える。
 ②「発表等の取り組み」への発展
   「継続性」のみられる取り組みへ発展させるには,発表の場を確保し,単発で終わらないような取り組みを考えていきたい。現在,3学期にSSH発表会が行われているが,さらに発表の場を提供できるよう模索していきたい。例えば,学年としての取り組みとして,学期に1回程度の発表会や月に1回程度の報告会を実施するなど,学年との連携によって「継続性」も得られることを期待したい。また,パネル展示によって報告していく方法にも取り組んでいきたい。

 (4)今後の取り組み
 ①目指す人間像の育成のための具体的目標の見直しと下位目標の設定
 ②京都教育大学をパートナーとしたSSC活動の展開
  a.琵琶湖のプランクトン図鑑の作成,環境と琵琶湖のプランクトンの消長調査(本学学生の卒業研究とのリンク)
  b.附属環境教育実践センターを利用した取り組み
 ③展示用パネルの作製
  これらの点については,構想はあるものの実施,実現には至っていない。

B.研究の概要における5つの課題にてらした評価
 以下,研究の概要における5つの課題について,年次ごとの進展目標(第二年次)に沿って評価を進める。
 (1)理科・数学教育を通じて豊かな国際性を育む方法の開発
  a イギリスでの日英サイエンスワークショップの企画・実施
    該当の取り組みなし。
  b 総合的な学習としての「マレーシア研修旅行」での自然観察などのフィールド学習の実施
    事前学習として調べ学習を行い,熱帯地方における生物相の特徴や見所となる生物をまとめたプリントを作成した。
  c 理科及び英語科との協同授業による授業開発
    該当する顕著な取り組みはないが,英語でプレゼンテーションにおいては,プレゼン対象となる理科実験の選定を行った。

 (2)高大接続に資するカリキュラムとシステムの開発
  a 大学の授業ヘスムーズに移行できる高校のカリキュラム開発。数学・物理・化学・生物領域の改善・開発
    生命科学Ⅰを実施した。
    第2期SSHで実施している生命科学Ⅰおよび生命科学Ⅱが大学の授業へスムーズに移行できるものかの検証は,完成年度を経て実施する必要がある。また,興味関心を高めるものであったかどうかについては,教科アンケートの分析を行いたい。
  b 第一次SSHで実績のある同志社大学等との連携講座を通じたAO入試開発
    該当の取り組みなし。
  c 京都教育大学との特別推薦入試研究開発
    該当の取り組みなし。
  d 京都大学,京都工芸繊維大学等との接続教育の開発
    該当の取り組みなし。

 (3)より継続的なパートナーとしての大学ならびに外部機関との連携のあり方の開発
  a 国際性の涵養の領域では,第1次SSHの成果をもとに連携機関の開発と関係拡大に取り組む。
    該当の取り組みなし。
  b 高大接続,課題研究の領域では,第1次SSHの成果をもとに開発
  (ア)SSC活動①で,京都大学生存圏研究所の吉村研究室への継続的訪問につながるような見学・研修を意図したが,継続性のみられる取り組みには至っていない。
  (イ)SSC活動②で,京都大学フィールド科学教育センター舞鶴水産実験所において臨海実習を実施した。1年生全体に呼びかけ,参加者を選抜した結果,より一層熱心な取り組みが見られた。
  (ウ)SSC活動③で,京都工芸繊維大学遺伝資源センターへの継続的訪問につながるような見学・研修を意図したが,単発の企画に終わっている。実施時期の関係で,事前・事後学習会が十分にできなかったことが原因の一つと考えられる。内容的には採集を中心としたフィールドワーク,突然変異体の観察を中心に実施し,継続的な取り組みを行いやすいので,今後の研究課題としていきたい。
  (エ)SSC活動④で,京都工芸繊維大学工芸繊維学部森研究室を訪問し,PCR法と電気泳動を中心にDNA鑑定の基礎を学んだ。昨年度同様に多人数のスタッフに参加していただき,実習作業を通して生徒と研究者のコミュニケーションの活性化を目指した。コミュニケーションは昨年度以上に活発に行われた。毎年の実施に伴い,大学スタッフがさまざまな点(生徒の現状等)を配慮しながら指導されるようになったことが影響していると思われる。
  d 教員養成の領域では,本学との具体的研究課題を設定
    該当の取り組みなし。

 (4)教科指導からの発展としての自主的創造的活動の開発
  a 京都教育大学附属環境教育実践センターでの長期にわたる観察・実習の開発
    該当の取り組みなし。
  b 京都教育大学院生・学生や第一次SSH対象の卒業生による探究的活動への支援
    SSC活動②では,2年生による1年生の探求活動への支援を今年度も実施した。生徒の指導力育成も目指した。支援生徒は,実習課題の意図を指導者の立場から理解する経験をし,その結果率先して引率教員の補助にあたることができた。
  c 複数教科による共同授業をもとにした科学技術の広い分野への応用的学習の開発
    該当の取り組みなし。
  d 生物オリンピック・化学オリンピック・物理オリンピック・数学オリンピックへの参加
    2年生1名が,生物オリンピックにて予選4位。日本代表を決める本選に出場予定。

 (5)今日的課題を解決する力を有する理科・数学教員の養成プログラム開発
  a 京都教育大学院生・学生がSSHの授業にTA等として参加し,教育現場における良質な探究学習・探究活動の実践に参加するプログラムの開発
    該当の取り組みなし。
  b 京都教育大学院生・学生がリーダー的存在として生徒とともに継続的な課外の探究活動を行うシステムの開発
    小教科「生物」では,特定のテーマの継続的SSC活動の指導を本学学生が行うことによって,卒業論文のテーマにつながる可能性があるのではないかと考えている。本年度も「琵琶湖のプランクトンの観察」を生命科学Ⅰで実施しているが,昨年は2年次以降につなげることができなかった。SSC活動として「琵琶湖のプランクトン図鑑作成」や「環境と琵琶湖のプランクトンの消長」等の実施につなげていきたいと考えている。
  c 教員養成の領域では,本学との具体的研究課題を設定
    該当の取り組みなし。

内     容主な実習
1学期序部1.細胞の探求
2.探究活動のすすめ
第1部  生物体の構造と機能第1章   細胞の構造第1節 生命の単位=細胞顕微鏡の使い方
双眼実体顕微鏡の使い方
ミクロメーターの使い方
細胞の観察
第2節 細胞の構造
第3節 原核生物と真核生物
第2章   細胞の機能第1節 細胞膜と物質の出入り原形質分離の観察
カタラーゼと二酸化マンガン(演示) 
ウミホタルの発光・ルシフェラーゼ
第2節 細胞と酵素反応
第3章  細胞の増殖と生物体の構造第1節 細胞分裂体細胞分裂の観察
細胞群体の観察
ゾウリムシの観察 疎水プランクトン観察
★シロアリ(京大)
第2節 細胞の多様化
第3節 単細胞生物と多細胞生物
第4節 多細胞生物の構造
第2部  生命の連続性第1章  生殖第1節 無性生殖と有性生殖減数分裂の観察
第2節 減数分裂
第3節 植物の生殖
第4節 動物の生殖
夏季休業中 ★臨海実習
★ショウジョウバエの突然変異体の観察(京都工繊大遺伝資源センター)
2学期第2章  発生第1節 発生の過程ウニの発生の観察
第2節 発生のしくみ
第3章  遺伝第1節 遺伝の法則唾液腺染色体の観察
ショウジョウバエの突然変異の観察            
第2節 さまざまな遺伝
第3節 遺伝子と染色体
第4節 性と遺伝
第5節 連鎖と組換え
第6節 遺伝子の本体
第3部  環境と動物の反応第1章  刺激の受容と反応第1節 神経 ブタの眼球の解剖
盲斑の検出
シロアリの走化性
★DNA鑑定(京都工繊大)
第2節 刺激の受容
第3節 効果器
3学期第4節 神経系
第5節 動物の行動
第2章  体液と恒常性第1節 体液とその環境★免疫に関わる細胞(教育大)予定
第2節 肝臓と腎臓の働き
第3節 ホルモンと自律神経による調節
未実施第4部  環境と植物の反応第1章  植物の生活と環境第1節 水分の吸収と移動モーリッシュの死環
第2節 光合成と環境要因
第2章  植物の反応と調節第1節 成長の調節
第2節 発芽の調節
第3節 植物の花芽の形成
第4節 植物の一生と環境

学校設定科目「生命科学Ⅰ」主な実施単元および実習

 【理科の取り組み::地学】 第1年次のまとめ(理科-地学) (2006.03.31)

1.教科指導方針について
 地学は,2年の人文科学系の選択必修,及び3年の人文科学系の自由選択で設置されている。実験,実習帳,ビデオ教材なども活用し,理解力を深める学習を行っている。

①外部の研究機関及び製造現場との連携
  日時:平成18年2月25日(土)
  進行:9:30 科学センターで現地集合
     9:35 フーコーの振り子について
     9:50 液体窒素の演示実験 終了後質疑応答
     10:10 液体窒素の演示実験についての質疑応答       
     10:30 展示品 説明
     11:00 プラネタリウム
     11:40 プラネタリウムについての質疑応答
     12:10 フーコーの振り子の観察
     12:30 科学センターで現地解散予定

目的:プラネタリウムは録音済みの内容で機械的に説明する施設が多いが,京都市青少年科学センターのプラネタリウムは開館以来,リニューアル以降も,専門の解説員が肉声で説明する方針を遵守している数少ない施設である。そのため,入館者の年齢層などに応じた臨機応変の解説が可能になっている。今回,一般入館者と共に番組を観賞した後,特別に質疑応答をお願いした。プラネタリウムのシステムについてや,それを運用する際に苦労する一面などを知ることによって,星などに関する学習への意欲喚起を促すことと思う。たとえば水星では太陽と反対側は90Kぐらいまで下がるが,90Kのような低温は実際にはイメージしにくい。科学センターでは,液体窒素(約77K)を製造している状況を観察できる展示品があり,その液体窒素を使用して演示実験を実施している。この実験を見学して極低温の状態を実感させる。さらに,フーコーの振り子についても,時間と共に振動面が本当に移動するのを確認して,自転の証拠となっていることを理解させる。

②SSC活動の充実

2.各課題の年次ごとの進展目標について(特記すべきものを報告する)

(ア)「より継続的なパートナーとしての大学並びに外部機関との連携の在り方の開発」
 今年度,科学センターを利用する学習を計画したが,今後はそれ以外の機関の利用も検討したい。

(イ)「成果の公開・共有,評価・検証と研究内容改善への取り組み」
  今年,観望会を開催ごとに募集して実施した。それぞれ,生徒は実際に惑星や星座等を観察し,感嘆の声を挙げていた。継続性がないため,自主的な取り組みや研究等にまでは発展できていない。地学の分野には,大きく分けると,天文,地質,気象の3分野がある。天文分野の希望者は多いので,2~3名程度のグループで,2~3グループで継続観察できるテーマを設けて実施したい(計10名程度)。そのため,観測に必要な追尾機能のある小型天体望遠鏡,太陽用フィルター,またデーター蓄積のために必要なCCDカメラ付きビデオカメラ,デジタルカメラ,さらにデーター分析・処理のための天文シミュレーション用ノートパソコンなどの機器の導入を検討していきたい。

 【理科の取り組み::物理】 第1年次のまとめ(理科-物理) (2006.03.31)

 科目「エネルギー科学Ⅰ」および「エネルギー科学Ⅱ」は第2期SSHに対してまだ実施していない。ここでは第1期SSHの成果の中で,第2期SSHに発展的に取り組めるよう構想したものも含めることにする。

1.教科指導方針について

①外部の研究機関および製造現場との連携

  京都大学原子炉実験所を訪問し,施設見学や核分裂の講義を受けた。ただ,平成18年度は諸般の事情により運転を1年間停止することが決まっている。その他は国際性の導入の項目で述べる。

次年度の課題
  これまでSSHクラスが1つであるため,これらの行事は授業の位置づけで行ってきた。しかしカリキュラムの変更にともない学期途中には行えない。他教科や理科小教科と打ち合わせて,休日や長期休暇の活用を計画しなければならない。

②高大接続

  京都教育大学理学科物理学教室と共同授業を何度か行い,教育実習生を含む大学生もアシスタントに擁して実施した。特に「センサープロジェクト」は思い切って時間をかけ,探究の手法や研究成果の発表,実験技術の向上を図り,また現在の科学技術におけるセンサーの仕組みなどを学び体験した。

  大学教員が高校で授業を行うときには,その時点でどこまで学習しており,何を学習していないかの判断に迷うとのこと。3年前に学習指導要領が新しくなり,一層混乱が生じやすい。従って高校での既習内容をよく伝えないと,新しいことがらを知らない概念で教えてしまうことになる。

  またTAの教育大学学生にとっては通常の授業構成なら何とか理解できるだろうが,特別授業では特別の目標や高度なねらいを含んでおり,指導分担の明確化を事前に意識して打ち合わせる必要がある。そうでないと指導者が考えさせようと導いている時に結論を告げてしまうという失態につながるからだ。ただ相手が教職を目指していることから,その特別の目標や高度なねらいを説明して授業計画を納得させないとやりがいも出てこない。

次年度の課題
  大学における実験は生徒に緊張感や充実感を与える効果があり,何らかの形で継続するのが望ましい。

③国際性の導入

 平成16年度と平成17年度に取り組んだ「センサープロジェクト」は,英国の高校物理を研究している研究会と共同し,イギリスの物理教科書から教材を発掘し,日本の高校で実践できるように開発した。英国の生徒はどのようなカリキュラムの中に位置づけられているかに留意しながら,日本と英国の授業スタイルの差を生徒にも示しながら実施した。

  また関連して,第1期SSHの学校設定科目である「科学英語」の教材として上述の教科書から「Sensing」の章をピックアップし,センサーの理解を深める展開ができた。日英の教科書の位置づけや内容の違いと共通点を感じさせることもできた。

次年度の課題
  海外の教科書などに記載された実験を再現するような取り組みがあれば生徒の能動性をより引き出せるプログラムとなるのではないかと考える。

④科学クラブの充実( →第Ⅳ部に詳述する。)

2.各課題の年次ごとの進展目標について

(ア)「理科・数学教育を通じて豊かな国際性を育む方法の開発」
サイエンスワークショップ in 筑波

 日英サイエンスワークショップが中止となり,冬休みに実施の「サイエンスワークショップ in 筑波」では素粒子研究所における新素粒子探索プログラムに関わりを持った。本校における関係生徒は1名であったが,素粒子についての基本的知識,今回の探索プログラムの概念特徴と使用法,研究者のコンピュータ環境などについて解説を行った。

 後日該当生徒から「もしかしたら新素粒子の可能性がある粒子を見つけた」との報告をしてくれた。本当に新素粒子である可能性は低いだろうが,彼の興奮の度合いは並大抵のものではなかった。とても有意義で充実した時間になったようである。
理科及び英語科ALTとの共同授業による授業開発

 SSHクラス2年生対象の学校設定科目「科学英語」では2学期の一定の期間,イギリスの高校物理教科書「Advancing Physics AS」から「Sensing」の章をピックアップし,内容を理解する授業に参加する機会を得た。これは該当クラスが9月に「センサープロジェクト」を実施したことと関わり,物理科から教材を提案した経緯がある。実際の授業では,文脈を理解するのに必要な人物の業績や目新しい専門用語,日本の学校教育では扱われない概念などの解説を行った。単なる英文の読み物とせず,すでに実験で使用したデバイスや物理概念が助けとなり,科学的内容を理解し,日英の物理教育の差異の一端を察知することに貢献できたと思われる。

(イ)「高大接続に資するカリキュラムとシステムの開発」
大学の授業へスムーズ移行できる高校カリキュラム

 第1期SSHから重視していた目標であり,とても重要な目標との認識で取り組んでいる。現在,次のような種類の教材を開発した。取り組んだ結果,教科書以上のものを求めている生徒達には好評であったが,受験という観点からは役に立たないため受け身の姿勢しか持たない生徒も見られた。動機付けを工夫しないと良い結果が得られないのではないか。また反省点としては他教科(数学科や情報科)との連携が希薄であり,相乗効果が狙えなかった。
微積分を用いた物理

 数学科の授業進度を配慮しつつ,可能な範囲で取り組んだ。当然必要以上に丁寧で段階を追った解説を行った。生徒の反応は歓迎する者が半数以上だが,受験面から拒否傾向の生徒もいた。興味を持たせる指導法まで含めた教材開発に留意すべきことを感じさせてくれた。以下に該当単元を列挙する。

・等加速度直線運動  
・空気抵抗を受ける運動
・単振動
・距離の2乗に反比例する力によるポテンシャルエネルギー
・ポアソンの法則
・コンデンサーの充放電
・ビオ・サバールの法則
・放射性崩壊 
・交流回路における電流・電圧・電力
など

対数グラフによるデータ分析

 高校で扱う物理現象には,指数・対数・等比数列に関わる現象も多数存在する。いくつかを題材に授業を試みたところ,おおむね生徒の理解を得られ好評に感じた。以下に該当単元を列挙する。実験によって片対数であったり両対数であったりする。

・弦を伝わる波の速さ
・ケプラーの法則
・熱平衡に到る過渡現象
・音階と振動数
・波長の関係
・放射性核種の半減期 など

パソコンを利用した実験分析

 測定そのものを各種インターフェースをつなげてパソコンで行う実験を開発してきた。単に従来の実験の置き換えでなく,測定周期の短縮(μ秒のオーダーも含む)が実現したり,従来は測定手段がなかったが,計測センサーの導入により実施可能となった実験もある。

 実験で得たデータを表計算ソフトで分析することにも取り組んだ。単にグラフ化することを容易にしただけでなく近似曲線や近似直線を調べたり,大量のデータを効率よく処理して傾向をつかむことにも成功した。

 ただ,いくら理系の生徒でもパソコンを苦手とする者もいる。また抜きんでている生徒がパソコンを独占する状況も一部あり,改善策が求められる。従って教科「情報」との連携により,1年生の「情報」の授業では2年次以降の理系選択に配慮した教材等を使用したこともあり,来年度は多少緩和される見込みである。

以下に該当実験を列挙する。

・音の振動数測定
・ボイルの法則
・熱平衡に到る過渡現象
・電池の起電力と内部抵抗
・交流回路の電流及び電圧の位相
・コンデンサーの充放電特性
・光が物質を透過するときの照度と厚さの関係
・ミリカンの実験
・テレビリモコンの信号分析
・ビデオポイントによる運動解析
など

(ウ)「より継続的なパートナーとしての大学ならびに外部機関との連携のあり方の開発」

国際性の涵養の領域( →他の部分で記述したので,ここでは割愛する。)

高大接続,課題研究の領域

 高大接続は他の部分で記述したので,ここでは割愛する。課題研究については,第3学年SSHクラスの学校設定科目「エネルギー科学Ⅱ」(選択科目)において2学期に実施した。第2期SSHにおいても課題研究は重要なテーマと考えられるため,ねらいやテーマ,内容及び成果を報告する。

課題研究

ねらい:ある程度時間をかけ,未知のことがらや物理学史上重要な発見となる事項について探究的手法で実験に取り組む。班で話し合うことにも重点を置いて今回のプロジェクトを計画している。実験テーマは班毎に異なり,期間中に2~3つの実験を行う。さらに自己の研究を他者に伝え,理解を図ることも重要であり,発表会にも取り組む。

期間:11月4日(金)~12月2日(金)
対象:3年1組24人
内容:「物理探究実験」
テーマと内容:テーマと内容は次の通りである。

・リモコンの信号
 現在の生活でリモコンは欠かせない道具である。リモコンから赤外線に乗って送られる信号(情報)はどのような規則性なのかを探究する実験。光センサーを用いたパソコン計測により調べた。まるで暗号を解読するような気分で取り組む反面,規則性が見いだせないときは迷宮に迷い込むようであった。

・ギターを調べる
 ギターで音階を作るときの弦の長さや振動数の関係を測定を通して明らかにし,その規則性を求める。音センサーを用いたパソコン計測とストロボスコープを用いた計測で結果が一致すること,つまり異なる2つの方法で結果が一致すると信頼性が増すことも学んだ。

・交流回路の位相
 交流回路の電流及び電圧の位相は座学で理論的に取り扱うが,大多数の生徒は実感が伴わない。しかし電流センサーや電圧センサー,各種デバイスを用いてグラフ化すると納得できる結果となった。

・光センサーを用いた実験
 応答速度の速い光センサーにより,家庭用電球の照度変化,回転体の反射光の明暗変化による回転数測定,ガラスを重ねることにより透過光の照度が指数的低下をすることの発見などができた。

・動画を利用した運動の解析
 ビデオカメラにより運動を撮影し,パソコンに取り込み,運動解析ソフト「ビデオポイント」によって速度や加速度をもとめ,複雑な運動の特徴やをつかもうとした。生徒が行った実験では,「水中を落下する小物体の運動」が成果を上げた。「ビデオポイント」による解析以外に表計算ソフトによるグラフの近似曲線をもとめたり,モデリングソフトで運動のモデル化を試み,モデルによる数値解析とよく一致する分析により,運動の本質に迫ることができた。

・電気素量測定
 ミリカンの電気素量測定実験はノーベル賞実験でもあるため,生徒の期待は大きかった。購入した機器は高校生でも扱いやすく設計されており,また理論面も十分理解していたが,なかなか結果的に有効なデータが少なく困難な実験となった。なお膨大な量のデータを扱うためパソコンによる分析がとても有効であることを生徒は実感した。また10のマイナス19乗のオーダーとなる実験の意味もよく理解できた。

・比電荷測定
 電子の比電荷とは電気素量(e)すなわち電子の電気量と電子の質量(m)の比である(e/m)。電気素量と組み合わせると電子の質量が求められるため,意義深い実験である。実験器具は扱いやすかったが精度があまりよくないため,結果に誤差が大きく含まれ生徒達は不満足のようであった。しかしこれも10の11乗というオーダーは求められており,小数部分に目を奪われすぎず,べき乗にも目を向けるべきとの指導を行い,多少救われたようである。指導者側としては実験技術をもっと具体的に教えるか,彼らに考案させるか迷った。後者にしたところあまり工夫が見られずに芳しくない実験結果となった。指導方法について改善の余地があるだろう。

・電波の性質
 電波の定性実験中心の機器であるため,当初はあまり面白みがなかった。しかしドップラー効果による速度測定が可能であったので実験を促すと,一転とても探究にふさわしい実験ができた。オシロスコープによって電波波形を観察し,波形の意味について仮説を立て,検証実験をして討論し仮説を修正するという弁証法的展開となった。最終的に満足する結果を得られ,また電波のドップラー効果について理論的にも納得でき,満足度は高かった。

・CDやDVDによる回折光分析
 CDは反射型回折格子であり,入試問題にもよく出るほど有名である。実際にレーザー光を用いて実験方法も考えさせながら取り組んだ。結果も良好な値を得ることができた。DVDでも同様の手法で取り組んだところ,不思議な干渉縞を発見した。しかし時間不足で十分な探究ができなかったのが心残りである。

成果:高校物理のすべての学習を終えてから取り組んだため,実施時期が大学受験前となり生徒への負担があった。提出レポートやアンケートでは,「答がない事象に取り組むことで,勉強ではなく学問をしている気がした」,「自分で考えて実験をすることによってとても理解が深まった」,「実験をすることでその理論がよく分かるようになった」のような代表的な意見に現れるように,SSHならではの生徒の体験及び成長が見られ,彼らも自覚するようになった。なお事後アンケートによれば,課題研究は通常の他の実験よりも生徒評価が高く,また年間を通じて探求心や好奇心,考察力,レポート作成能力などの向上を挙げている生徒が目立った。

(エ)「教科指導からの発展としての自主的創造的活動の開発」

  京都大学VBL関西テクノアイデアコンテストについて。年度当初は年間授業構想にあったが,実施要項の発表伝達が遅いため,夏休み前からの計画的な指導が構成できなかった。生徒の意志に任せる形にしたが応募は1件のみで残念である。

(オ)「今日的課題を解決する力を有する理科・数学教員の養成プログラム開発」

京都教育大学院生・学生がSSHの授業にTA等として参加し,教育現場における良質な探究学習・探究活動の実践に参加するプログラムの開発

 2年生SSHクラス対象の「センサープロジェクト」では京都教育大学の教員とともに4回生の学生がTAとして指導に参加した。教材の理解は十分にしている学生なので安心して取り組めた。なおその時期は教育実習期間であったため3回生の実習生にも補助として手伝ってもらえた。彼らも大学の物理実験の中で取り組んでおり,実験の流れはよく知っていたので,スムーズな進行につながった。彼らは,本校生徒が電流回路の教材であるセンサープロジェクトを理解し使いこなしていく過程を観察することができ,生徒理解に役立ったのではないかと思われる。

(カ)「成果の公開・共有,評価・検証と研究内容改善への取り組み」

京都府の各教科の教育研究団体での報告

 京都理化学協会の会誌に「モデリングソフトと授業実践報告」と題して,SSHでの取り組みを7ページにわたり掲載していただいた。

公開研究会で成果を発表し評価を求める

 物理教育学会の学会誌VOL.53,No.4 2005に,京都教育大学物理学教室の谷口氏と共著で研究論文「アドバンシング物理『センサープロジェクト』の実践報告」を掲載していただいた。

 【理科の取り組み::化学】 第1年次のまとめ(理科-化学) (2006.03.31)

科目「物質科学Ⅰ」および「物質科学Ⅱ」は第2期SSHに対してはまだ開講されていないため実施していない。ここでは,第1期SSHの成果の中で,第2期SSHに発展的に取り組めるよう構想したものについて記載する。

1.教科指導方針について
①外部との研究機関および製造現場との連携
 現在第1期SSHで実施しているもので,第2期に継続して実施可能なものについては,以下のようである。現在は授業時間内に実施しているため,実施時期や日程の調整が行いやすいが,来年度からは対象が希望者となるため,土日や長期休暇中に実施しなければならず,特に製造現場との日程調整等が困難になる可能性が心配される。反面,少人数で研究室訪問等が実施できるため,参加生徒全員が見学だけに終わらず,実際に機器を操作できることなどが期待される。

平成17年度実施した事業

1)「透過型電子顕微鏡(TEM)で原子を見る」 京都教育大学

目標:1年次のオリエンテーションでは走査型でアリの観察をおこなっている。走査型と透過型の構造の違いを比較しながら 透過型電子顕微鏡の原理を理解する。また,実際に結晶構造を観察し,原子・分子や結晶構造の学習の理解を深める。

評価と課題:目標はおおむね達成できた。来年度は1年次で走査型の観察を体験していないので,今回,電子顕微鏡での観察が初めてになる生徒が多くなると考えられる。さらに,今年度までは事後レポートを課していたこともあり,当日理解できなかったことも自分で積極的に調べることにより,理解を深めた生徒も多く,事後指導をどのように行うかも考えておく必要がある。

2)「X線マイクロアナライザー(XMA)による元素分析」 京都教育大学

目標:走査型電子顕微鏡の一部として付随しているX線マイクロアナライザーの原理を理解し,実際に非破壊的に金属の元素分析を行い,その有用性を考えさせる。また,透過型と比較することにより,それぞれの機器の共通点と相違点を考えさせる。

評価と課題:目標はおおむね達成できた。来年度の生徒は1年次に走査型でアリ等を観察することを体験していない。また,参加者全員が透過型のSSC活動に参加しているとは限らないので,比較することが困難となる。1)の活動との連携をどのようにするか考える必要がある。また,1)と同様にレポート作成等の事後指導もどのようにするべきか考えるべきである。

3)「鉛蓄電池工場見学」 ㈱ジーエス・ユアサ コーポレーション

目標:実際に鉛蓄電池の製造工程を見学することにより,電池のしくみやリサイクルついて理解を深める。また,製造工程上の工夫点や改良点なども観察することにより,ものづくりの現場に対する理解を深める。

評価と課題:目標はおおむね達成できた。生徒は工場のラインに手が届く位置で見学できたことで製造過程の小さな工夫にも気付くことができ,質問も多く見られた。次年度は学校休業日の実施となるので,工場の稼働日との日程調整が心配される。

4)講演「日本の科学・技術・産業と高校化学―鉄鋼を例として-」 京都大学

目標:製鉄所見学の事前学習として,鉄について理解を深めるとともに,大学の研究者の立場から今の高校生になにが期待されているのかを知り,今後の高校生活を考えさせる。

評価と課題:目標はおおむね達成できた。次年度は製鉄所見学が希望者となるため,授業での実施ができない。事前学習としての効果を考えると実施したいが放課後や休業日での実施となるため,他の行事との日程調整が心配される。

5)「製鉄所見学」 ㈱神戸製鋼所加古川製鉄所

目標:日常生活の中で活躍する材料である鉄について製造過程を見学し,現在の製鉄における最先端での研究についても講義を受けることにより,鉄についての理解を深めるとともに,ものづくりの現場に対する理解を深める。

評価と課題:目標はおおむね達成できた。見学後には活発な質疑応答が行われた。

 事前学習として4)の講演を実施したことにより,生徒の興味関心が大きくなり,積極的に見学等を行うことができた。次年度も効果的な事前学習を考える必要がある。

6)「洗濯を科学する」 京都教育大学

目標:洗濯という身近な事象について日常生活のごくありふれた行為の中に,化学の理論が含まれていることを理解させる。そのために家庭科の観点から導入し,家庭科の実験により興味を持たせて学習させ,さらに,そのような理論が実際の製品にどのように盛り込まれているか,および排水等の環境問題まで学習させ理解を深める。

評価と課題:目標はおおむね達成できた。化学,家庭科それぞれの単独授業では補えなかったこと,理解しにくかったことが解消できたことが生徒の感想からも受け取れ,たいへん効果的であり評価できる取り組みであった。

7)「ガス工場・ガス科学館見学」 大阪ガス・ガス科学館

目標:都市ガス製造工場のスケールに触れ,生活物質の製造工程を学習する。また,省エネルギーシステム・次世代エネルギー・環境問題等について,どのように企業が研究をすすめているかを知ることにより興味・関心を深める。

評価と課題:目標はおおむね達成できた。生活に関わることと化学との関連について考えさせることが効果的であった。内容が豊富で,時間が不足気味であることと,事前・事後学習の取り組みについてが今後の課題である。

8)「ブラウン運動からアボガドロ数を求める」 京都教育大学

目標:コロイド溶液の性質を実験によって復習し,理解を深める。また,ブラウン運動を用いて,アボガドロ定数を求める。この手法の原理は,高校生にとってはやや難しいが,時期的にも発展的学習を行うのにふさわしいと考えた。理論の理解,データ処理,洞察力,考察力等さまざまな要素が含まれており,それらを統合して実験を行う力を養うことも併せて目標とする。

評価と課題:目標はおおむね達成できた。ブラウン運動からアボガドロ定数を求める実験は,コンピュータシミュレーションによるデータ解析の実験であった。生徒は,パソコン上のソフトを用いてのデータ処理は手際よくこなせていたが,アインシュタインの理論式から導きだせるブラウン運動とアボガドロ定数との関係の理解はかなり難しいようすであり,感想からもそのことがうかがえた。また,実験結果が予想より小さく出てしまうことの考察を行うことが,今後の課題である。

9)「生体チタン合金材料」 関西大学

目標:チタン元素の特性やチタン合金の医療材料としての性質を理解する。また,生体に用いる材料の「ものづくり」を行う上でクリアしなければならない条件等を理解し,そこに物理学・化学・生物学・医学が関連していることも知り,理科系志望者の興味・関心を深めさせることも目標とする。

評価と課題:目標はおおむね達成できた。チタンという金属元素をよく理解することができた。特に,「ものづくり」の研究には,さまざまな分野の学問が関係している点が理解できるところは評価できる。内容に物理・生物の分野が含まれるところもあり,物理選択者・生物選択者によって理解の仕方が異なったと考えられ,基礎的事項の事前学習が今後の課題である。

10)「ミクロナノスケールの分離分析」 京都大学

目標:分析化学の意義や手法に関して学習するとともに,分析化学に関する実験を体験する。また,化学系大学院の設備・機器等を見学し,研究者の活動を知ることで,生徒の興味・関心をより深めさせることも目標とする。

評価と課題:目標はおおむね達成できた。電気泳動での分離分析が中心であったので,高校で学習する基礎的な理論が,大学での高度な研究に生かされていることを認識するのにとても効果的があった。昨年の課題であったテーマを絞ることも今年度はできていた。

11)「薬 - Science For Better Life - 」 バイエル薬品(株)

目標:身の回りにある薬は,自分の身体にまつわる題材であり,多くの生徒が興味を持っていると考えられる。薬が効くメカニズム,創薬研究等について講義を聴き,さらに実験を通して理解を深めさせる。また,医学・薬学分野への進学を希望する生徒が,より興味・関心を高めていくことも目標とする。

評価と課題:目標はおおむね達成できた。生徒の感想も,丁寧な説明でわかりやすく,かつ興味深い内容であったというものが多く好評であった。特に,花粉症の話など自分の身近なことの解明についての評価が高かった。また,大学での薬学教育,薬学一般に関すること,製薬会社の機構および創薬に関すること等,さまざまな角度からの話も盛り込まれ,進路学習として一面も効果的であった。

②高大接続
 第1期SSHから,一部の分野で高等学校指導要領を超えた範囲で学習を進めてきた。化学を学習する上で,より理解しやすく、または理解が深まるような意図で行ってきた。さらにこの取り組みが高大接続につながると考えている。今後は具体的な分野を特定し,大学の協力を得てカリキュラム開発を行っていくことが課題となる。

③国際性の導入
 当初は「物質科学Ⅰ」の冬期課題として科学雑誌の翻訳を挙げていたが実施できなかった。しかし,英語科との連携で3学期に「英語Ⅰ」「科学英語」で次のような取り組みを行っている。(詳細は英語科のまとめを参照)

「英語Ⅰ」:レイチェル・カーソンの「沈黙の春」が題材として教科書に記載されており,その学習を機に,環境問題について調べさせ,英語でプレゼンテーションさせる。生徒の発表の前には,理科教員が英語の授業で,農薬やDDTについての科学的な知識を与え,発表の際にはコメントをする予定である。

「科学英語」:本年度「物質科学Ⅰ」で実施した実験を題材に,英語でプレゼンテーションする授業に理科教員が参加する予定である。
 現時点ではまだ終了していないため,成果はわからないが,今後,日英サイエンスワークショップ等で英語で発表する機会も増えるため,ぜひ今後も発展させて続けていきたいと考える。

④科学クラブの充実( →第Ⅳ部に詳述する。)

2.各課題の年次ごとの進展目標について(特記すべきものを報告する)

(ア)「理科・数学教育を通じて豊かな国際性を育む方法の開発」
  教科指導方針・国際性の導入参照

(イ)「高大接続に資するカリキュラムとシステムの開発」
  教科指導方針・高大接続参照

(ウ)「より継続的なパートナーとしての大学ならびに外部機関との連携のあり方の開発」

第1期のSSHの行事として,大学での実習や企業での工場見学を実施してきたが,継続的にはなっていない。

本年度は教育大学の研究生に協力する形でマイクロスケールでの実験を「物質科学Ⅰ」の授業で以下の3回実施した。

①紫キャベツとpH
②電池と電気分解
③金属イオンの反応

 生徒も回を重ねるごとに効果的な実験方法の開発と環境問題について考えるようになり,率直な意見をアンケートにも記載するようになった。本年度は研究生の考案した実験に対して実際に生徒が実験をして感想を述べるだけに終わったが,今後,生徒にいろいろな実験を考えさせるような機会を与えていきたい。

(エ)「教科指導からの発展としての自主的創造的活動の開発」
  大学や企業等の化学に関する実験教室への参加,SSC活動の活性化による校内・校外での活動紹介,サイエンスキャンプ等の研修会への参加,自由課題研究による啓発等により,今後の開発を行っていく。

(オ)「今日的課題を解決する力を有する理科・数学教員の養成プログラム開発」

 今年度は1学期に実施した教育大学での2回の電子顕微鏡実習と夏休みに実施した超伝導体の作製において,それぞれの研究室に所属する大学生や大学院生の協力を得た。また,1学期の電子顕微鏡実習は教育実習中の期間でもあったので,実習生にも参加させた。実習生にとってもSSHの取り組みが生徒にとってどのような効果をもたらすかを考えさせるよい機会となった。大学院生には現在は主に機器操作を行ってもらい,待ち時間に実施する実習等は高校側がすべて用意し指導しているが,今後は事前学習や待ち時間の実習等を大学生や実習生に指導させるようなことも考えていきたい。
 大学での実習だけでなく,工場見学等にも同行させ,事前事後学習の指導等にも能動的に参加させていければ,大学生にとって有用であることはもちろんであるが,生徒にとっても継続的な学習が期待でき,大学との連携も期待できる。

 【理科の取り組み::生物】 第1年次のまとめ(理科-生物) (2006.03.31)

1.目指す人間像
 小教科「生物」では,研究開発課題『国際性,論理性,創造性を兼ねそなえた科学技術研究・開発能力の基盤となる理科・数学教育ならびに指導者育成に関する研究開発』を達成するにあたり,研究の概要における(1)~(5)の下位課題(目標)を念頭に,目指す人間像を下記のように定めた。

(1)科学技術立国「日本」をリードする研究者,技術者。
(2)科学技術立国「日本」における科学・技術の社会におけるあり方や支援の可否を判断するに足る知識を有する市民。
(3)科学技術立国「日本」を支える財政および法律関係者。

2.対象
 本年度の主な研究対象を第1学年全員とした。
 本研究開発の実施規模は,「1年生は全員,2年生・3年生は理科系進学希望者全員」であるが,研究1年次である平成17年度は,主な対象を第1学年全員とした。
 第1期SSHにおいて目指す人間像は(1)であった。また,その研究課題は,人材育成のための教材開発とノウハウの他校への普及であった。第2期SSHでは,第1期の成果を活かし,なおかつより幅広く社会における人材育成を目指している。したがって文系・理系のコース選択が行われていない1年生を中心に取り組みを進めることで,目指す人間像の(2)や,特に文系コース選択者に含まれるであろう目指す人間像の(3)の育成につながると考えた。

3.方法
 次の2つの取り組みを実施するという方法をとった。
(1)学校設定科目「生命科学Ⅰ」の実施
(2)SSC活動(科学クラブ)の実施
 なお,これらを実施するにあたっては,次の4つの理科の指導方針を念頭においた。
 ①外部の研究機関および製造現場との連携。
 ②高大接続の取り組み。
 ③国際性の導入。
 ④科学クラブの充実。

(1)学校設定科目「生命科学Ⅰ」の実施
 第1期SSHの成果を活かし,引き続き学校設定科目「生命科学Ⅰ」を実施した。第1期との変更点は,対象生徒を特定クラスから1年生全員としたことである。それに伴い実施単元および実習については変更を加えた。主な実施単元および実習については,後載の表「学校設定科目『生命科学Ⅰ』主な実施単元および実習」を参照。

(2)SSC活動の実施
 1年生の希望者を対象に,課外活動として以下のSSC活動を実施した。各活動については,第Ⅲ部に詳述する。
シロアリを知ろう ~シロアリは人類を救うか~    
臨海実習
お酒に強いショウジョウバエと弱いショウジョウバエ  
土壌生物の採集と観察
⑤日英SW in 筑波 校内事前学習会          
DNA鑑定

4.評価
 次の2つの側面から評価を試みる。
A.各SSC活動と理科指導方針および取り組みの特徴との関係にてらした評価
B.研究の概要における5つの課題にてらした評価

A.各SSC活動と理科指導方針および取り組みの特徴との関係にてらした評価

(1)概観
 下表は,各SSC活動と,理科指導方針および取り組みの特徴との関係を示したものである。

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  ①外部の研究機関および製造現場との連携では,単発の取り組みであっても過去の年度において3回以上同様の取り組みを行い,内容の改善を積み重ねてきたものや生徒の様子を理解いただいていると思われるものに◎を付した。②高大接続の取り組みでは,今後そのような取り組みの基礎としての見込みを持っているものに○を付した。継続性では,生徒自らが新しいテーマを見いだし継続をしているものに◎を付した。
  第1期SSHの経験から,我々は数多くの外部研究機関および製造現場との連携が可能である。本年度はそれらの中から継続的取り組みや発表につなぐための指導の見通しがもてるものを精選したつもりであった。しかし継続的な取り組みや発表等の取り組みにつながるものが①シロアリを知ろう,のみとなった。

(2)各SSC活動について
シロアリを知ろう  
この取り組みに関して,この3年間で内容は大きく変更してきた。以前は,1年次の早い時期に研究現場を訪問すること自体を目的としており,生存圏研究所の中の旧木質科学研究所をひととおり見学していた。しかし本年度は特定のテーマを中心に扱っていただくことにした。現在,自ら新しいテーマを見つけ,それを研究するための方法を模索中であるなど継続的な取り組みを生徒は行なっている。今後は活動の拠点が外部となる方向も検討したい。なお,具体的内容は未定であるが吉村研究室は,協力いただける意向である。

臨海実習
 昨年度はウニの発生のビデオ撮影など発表を目的とした目標設定があった。今年度は特に継続的あるいは発表等につながる取り組みの働きかけは行えなかった。むしろ1学期を締めくくるイベントとして位置づけ,1年生には入学直後から事前指導に入り,入学後の第1学年のSSHの活性化に寄与する可能性を探りたい。

お酒に強いショウジョウバエと弱いショウジョウバエ  
 昨年度はSSH事業ではなく,京都工芸繊維大学主催の事業として,学年を問わず15名の希望者で参加をさせた。採集方法やショウジョウバエ属の同定法など自前でショウジョウバエを準備する方法を中心に据え,昨年度実施されたDNA分析はあえて行わなかった。2学期に実施するメンデル遺伝の単元終了後に,校内を活動拠点としてDNA分析をテーマとした継続活動につなげたいと考えたからである。しかし,教員の都合で実施には至らなかった。

土壌生物の採集と観察
 京都教育大学は,第1期SSHの新入生オリエンテーションで3年間お世話になっている。第2期SSHではSSC活動の一環として単独テーマを設定し実施した。土壌生物を中心に生態学や形態学を学んだ。生命科学において遺伝子レベルの扱いが多くなる中,生物学をマクロ的視野で捉える力の育成も必要であり,その効果は十分に得られた。今後,継続活動につなげたいと考えているが,現在実施には至っていない。

⑤日英SW in 筑波 校内事前学習会(評価は日英SWの項に譲る。)

DNA鑑定
 京都工芸繊維大学は,第1期SSHにおいて遺伝子組換え実験を中心とした研修で3年間お世話になっている。今年度はDNA鑑定をテーマに実施した。PCR法は機器を使用することが多い中,生徒自身が実際に体を動かしながら体感することができた。DNA鑑定については本年度初めての実施であったが,事前学習を行ない,十分な理解を得られた。工芸繊維大学では継続実施しているので,院生や学生によるTAも慣れており,生徒への対応もスムーズに行えた。遺伝子に関する継続的な活動は校内では実施できていないが,大学へ定期的に出向くなどの活動を検討する必要がある。

(3)課題
①目標分析
 目指す人間像の育成のために,理科では4つの項目を念頭において事業の企画を進めた。しかしこれら4つの項目を見直すと同時に,その概念の包含関係を明確にする必要がある。また,表『各SSC活動と,理科指導方針および取り組みの特徴との関係』の「継続性」,「活動拠点」,「発表等の取り組み」に見られるような,目指す人間像育成のために,各SSC活動が備えるべき特徴を今後数多く抽出し,包含関係を明確にする必要がある。さらに,たとえば「継続性」において,自ら新しいテーマを見つけ継続して研究する,現在のテーマを継続して研究する,のように評価の指標を明確にする必要がある。

②「継続性」のみられる取り組みへの発展
 「継続性」のみられる取り組みへ発展していない原因の一つは,対応できる教員に限りがあるからでもある。活動の拠点が「校内」である場合は,継続した指導が期待できる指導者が必要である。また,「校外」である場合は,生徒が下校途中に立ちよれる場所が望ましい。これらの両方の必要条件を満たしているものとして京都教育大学との連携をさらに深める必要がある。

③「発表等の取り組み」への発展
 「継続性」のみられる取り組みへ発展していない原因の一つは,対応できる教員に限りがあることもそうであるが,気軽に発表できる場がないということもある。前者の人的課題は②で述べた方法を模索したい。後者については,学年の支援を得て学期に1回程度学年での発表会を催す。あるいは不定期に月に数回程度,SHRで報告会を実施するなど学年としての取り組みの方向も期待したい。また,パネル展示などの形で都合のつく時期に作製し展示,報告をするという方法に取り組みたい。
    たとえば,文化祭という場では,複数の活動の指導は困難である。筆者の例を挙げれば,クラスの指導,教科の展示,シロアリクラブの指導が重なった。オープンキャンパスであれば,中学生のための模擬授業の準備,シロアリクラブの指導が重なった。運営指導委員会であれば,総括の作製とシロアリクラブの指導が重なった。

(4)今後の取り組み
①目指す人間像の育成のための具体的目標の見直しと下位目標の設定
②京都教育大学をパートナーとしたSSC活動の展開
a.琵琶湖のプランクトン図鑑の作成,環境と琵琶湖のプランクトンの消長(本学学生の卒業研究とのリンク)
b.附属環境教育実践センターを利用した取り組み
③展示用パネルの作製

B.研究の概要における5つの課題にてらした評価
  以下,研究の概要における5つの課題について,年次ごとの進展目標(第一年次)に沿って評価をし,本年度取り組んだものについて記載する。

(1)理科・数学教育を通じて豊かな国際性を育む方法の開発

イギリスでの日英サイエンスワークショップの企画・実施
SSC活動⑤で一部を担った。学習会に参加した生徒は,SW終了後,大変役に立ったと評価した。

(2)高大接続に資するカリキュラムとシステムの開発
大学の授業ヘスムーズに移行できる高校のカリキュラム開発
数学・物理・化学・生物領域の改善・開発
生命科学Ⅰを実施した。
第1期SSHで実施した生命科学Ⅰおよび生命科学Ⅱが大学の授業へスムーズに移行できるものであるかどうかについて,平成16年3月に卒業した生徒に対する検証は実施していない。したがって,今年度実施した生命科学Ⅰが検証されたものではない。
興味関心を高めるものであったかどうかについては,年度末の教科アンケートの結果を待ちたい。

(3)より継続的なパートナーとしての大学ならびに外部機関との連携のあり方の開発
高大接続,課題研究の領域では,第1次SSHの成果をもとに開発

(ア)SSC活動①で,京都大学生存圏研究所の吉村研究室への継続的訪問につながるような見学・研修を意図したが,高校内での継続的研究に終わっている。
(イ)SSC活動②で,京都大学フィールド科学教育センター舞鶴水産実験所において臨海実習を実施。第1期SSHの内容をそのまま実施したが,1年生全員に呼びかけ,参加希望者の中から参加者を選抜した結果,より一層熱心な取り組みが見られた。
(ウ)SSC活動③で,京都工芸繊維大学遺伝資源センターへの継続的訪問につながるような見学・研修を意図したが,単発の企画に終わっている。実施時期の関係で,事前・事後学習会が十分にできなかったことが原因の一つと考えられる。
(エ)SSC活動④で,京都教育大学松良研究室を訪問し,土壌生物の採集と観察を実施した。継続して活動できるような内容であったが,単発の企画に終わっている。他の研究室での研修は現在未実施であり,今後活発化していきたい。高大接続につながる研修も検討が望まれる。
(オ)SSC活動⑥で,京都工芸繊維大学工芸繊維学部森研究室を訪問し,DNA鑑定を実施した。昨年度までと同様に多人数のスタッフに参加していただき,実習作業を通して生徒と研究者のコミュニケーションの活性化を目指した。昨年度の第1期SSH3年生で実施した内容と同様の内容を行ったが,コミュニケーションは昨年度以上に活発に行われた。毎年の実施に伴い,大学スタッフの慣れも影響していると思われる。

(4)教科指導からの発展としての自主的創造的活動の開発
京都教育大学院生・学生や第1次SSH対象の卒業生による探究的活動への支援
 SSC活動②では,卒業生ではないが,第1期SSH対象在校生(2年生)による探求活動への支援を今年度も実施し,生徒の指導力の育成も目指した。支援生徒は,実習課題の意図を指導者の立場から理解する経験をし,その結果率先して引率教員の補助にあたることができた。

(5)今日的課題を解決する力を有する理科・数学教員の養成プログラム開発
京都教育大学院生・学生がリーダー的存在として生徒とともに・継続的な課外の探究活動を行うシステムの開発
 小教科「生物」では,特定のテーマの継続的SSC活動の指導を本学学生が行うことによって,卒業論文のテーマにつながる可能性があるのではないかと考えている。本年度は「琵琶湖のプランクトンの観察」を生命科学Ⅰで実施し,2年次以降にSSC活動仮題「琵琶湖のプランクトン図鑑作成」,「環境と琵琶湖のプランクトンの消長」等の実施につなげたいと考えている。

学校設定科目「生命科学Ⅰ」主な実施単元および実習

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 【理科の取り組み::生物】 1年生の授業 (2006.02.09)

酸素ヘモグロビンの割合と酸素分圧の関係について,黒板や教材提示装置を用いた授業を行っています。
またpHとHbO2の割合の関係も説明。

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同じ時間に別の講座では,魚類の浸透圧調節について授業。
集中力ある附属高生の授業態度。

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 【理科の取り組み::化学】 2年生の授業 (2006.02.08)

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2年生の化学 I は有機化学分野を学習中です。この日はカルボン酸や油脂についての授業でした。
パソコンのデータをスクリーンに映しながらのわかりやすい授業です。

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