1.教科指導方針について
①理科・数学との連携によるデータ処理・分析能力の育成について
1) 数学B単元「数値計算とコンピュータ」の取り入れ
第3学年の情報Bでは,簡単なアルゴリズムの理解を目標とし,文字列の入出力,和の計算,整列(交換法),順位付け,探索(順次,二分)などのアルゴリズムの学習とフローチャートの作成,Visual Basicを使用したプログラミング演習を行った。
本単元では昨年度と同様情報Bの教科書の中にある題材だけでなく,約数を求める,素因数分解の計算,最大公約数を求める,素数判定,方程式の近似解計算(ニュートン法,二分法)などの数学B「数値計算とコンピュータ」の学習内容を盛り込んだ。
授業実施計画 (※表内の太字は数学B分野)
| 第1回 | 1.Visual Basic基本画面の説明 2.デジタル時計の作成 ・各コントロールの説明(ラベル,コマンドボタン,タイマー) ・簡単なプログラムの作成(時刻を表示,フォームを閉じる) ・代入文について |
| 第2回 | 1.変数と変数宣言について 2.テキストボックスの説明 3.演算代入式について(演算子) 4.アルゴリズムの学習及びプログラミング演習 ・円の面積計算(1)(フォーム使用) ・台形の面積計算 5.フローチャート記号の説明 |
| 第3回 | 1.文字列について 2.入力ボックスについて(Inputbox) 3.メッセージボックスについて(Msgbox) 4.アルゴリズム学習及びプログラミング演習 ・入力ボックスに入力した文字列を表示する ・円の面積計算(2)(入力ボックス・メッセージボックス使用) ・応用問題演習 |
| 第4回 | 1.アルゴリズムの基本構造の説明 ・順次構造 ・分岐構造 ・反復構造 2.選択構造について(If~Then~Else) 3.反復構造について(1)(Do~Loop ) 4.アルゴリズム学習及びプログラミング演習 ・nの奇数・偶数判定 ・引き算のみで余りを求める |
| 第5回 | 3.反復構造と分岐構造を組み合わせたアルゴリズム学習 ・nの約数を求める(1)(Do~Loop使用) ・nの素因数分解 |
| 第6回 | 1.反復構造について(2)(For~Next) 2.アルゴリズム学習及びプログラミング演習 ・1から100までの和を計算する ・nの約数を求める(2)(For~Next使用) ・m,nの最大公約数を求める(ユークリッド互除法) |
| 第7回 | 迷路探索のアルゴリズム ・右手法のアルゴリズム解説(選択のネスト構造) ・フローチャートの作成 ・プログラミング演習 |
| 第8回 | テスト |
| 第9回 | 1.テスト返却・解説 2.アルゴリズム学習及びプログラミング演習 ・十進数nを二進数に変換する ・nの素数判定 |
| 第10回 | 交換法による整列アルゴリズム学習(1) ・アルゴリズム解説 |
| 第11回 | 交換法による整列アルゴリズム学習(2) ・配列についての解説 ・二重ループの解説 ・フローチャート作成 |
| 第13回 | 交換法による整列アルゴリズム学習(3) ・プログラミング演習(Visual Basic) |
| 第14回 | 交換法による整列アルゴリズム学習(4) ・プログラミング演習(Excel) |
| 第15回 | 順位付けのアルゴリズム学習(1) ・アルゴリズム解説 ・フローチャート作成 |
| 第16回 | 順位付けのアルゴリズム学習(2) ・フローチャート作成(続き) ・プログラミング演習(Excel) |
| 第17回 | 教室の座席替えを行うプログラムの作成 ・乱数の解説(Rand) ・プログラミング演習(Excel) |
| 第18回 | N88-BASICについて(1) ・Visual Basicとの比較(命令・演算子・アルゴリズムの違い) ・プログラミング演習(nの素因数分解) |
| 第19回 | N88-BASICについて(2) ・プログラミング演習(nの素因数分解,m・nの最大公約数) |
| 第20回 | 平方根計算のアルゴリズム ・SQR関数を用いた平方根計算 ・加法と除法だけで平方根計算するアルゴリズムの解説(ニュートン法) ・プログラミング演習(N88-BASIC) |
| 第21回 | 方程式の近似解を求める(1) ・順次探索で方程式の近似解を求めるアルゴリズムの解説 ・プログラミング演習(N88-BASIC) |
| 第22回 | 方程式の近似解を求める(2) ・二分法で方程式の近似解を求めるアルゴリズムの解説 ・プログラミング演習(N88-BASIC) |
| 第23回 | 1.主要プログラミング言語について 2.C言語によるプログラミング ・BASICとの違い ・プログラミング演習(nの素因数分解) |
| 第24回 | テスト |
| 第25回 | テスト返却・解説 |
使用教材について
プログラミング演習で使用した教材については,数値の結果だけでなく,視覚的にどのような処理や課程を経て結果が得られるかが分かるよう配慮した。

教師の感想
実際の授業は文系コースの履修者と共同で行われる為,学習内容の説明を丁寧に行ったため,授業進行をやや遅めにする必要があった。また,第3学年の情報Bは1単位と授業時間が非常に少ないために学習内容を精選する事に苦慮した。大学入学後にも対応できる力の育成するためには本来ならば数倍の時間をかけて指導を行わなければならないのではないだろうか。
迷路探索や教室の座席替えなど視覚的に結果が得られる小単元については,非常に興味関心を示したものの,残念ながら数学Bの内容に興味関心を示した者が少なかったのは非常に残念である。これは,理系コース履修者すべてが情報処理技術者を目指しているわけではないという事と関係しているのかも知れない。
しかしながら,理系コース履修者の半数以上は,コンピュータにおける情報処理について卒業後も学習を深めたいと感じているという事がアンケートの結果で分かったので,授業を通じて学習する意義は十分にあったと考えている。
次年度の課題
本学習内容を大学入試センター試験の対策講座としてではなく,「情報を学ぶことが,自分の人生を豊かにする」と感じられるような内容にすることを目標にし,これからも授業実践していきたい。
しかしながら,カリキュラム改訂により情報Bの履修単位数が2単位から1単位となり,第3学年の情報Bは開講されない為,事実上次年度以降の授業実践は不可能である。
従って,次年度以降は第2,第3学年希望者を対象に放課後などの授業時間外に「情報処理講座」を開講し,実践を継続していきたい。
2) 情報理工学分野の取り入れ~パソコンでラジコンカーを制御する~
第1学年の情報Bの単元「コンピュータでの情報の処理」では,プログラムのアルゴリズムを考える事によって数値計算やデータ操作だけではなく,機械の制御も可能であることを学習できるよう,情報理工学分野の「迷路探索アルゴリズム」を授業に中に取り入れた。
情報工学分野の学習を発展させるため,カノープス社の「USBit」を用いて,ラジコンカーをパソコンで制御する活動を平成19年2月に実施する予定である。
USBitについて
カノープス社の「USBit」はTOMMY社の小型ラジコンカー「BITCHAR-G」をパソコンでコントロールする装置である。パソコン上で制御プログラムを作ることにより,ラジコンカーを制御することが可能である。USBitはUSBケーブルでパソコン本体と外部接続する。なお,USBitは組み立てキットとなっているので,基盤の組み立て(ハンダ付け)を行う必要がある。

次年度以降の展開について
今回の活動はラジコンを制御するのみで,自立型ロボットの作成には至らない。次年度はロボットマウスを購入して組み立てを行い,制御プログラムを作成し,パソコンで迷路探索またはサッカーゲームを行うなど発展をさせたいと思う。また本学との連携した活動実践や,各種コンテストへの参加も検討したい。
2.各課題の年次ごとの進展目標について(第2年次)
ア.FLASHによるマルチメディア制作
今年度もFLASHを利用したディジタルアニメーションムービーの制作を行うため参加の募集を行い,第1学年9名,第2学年3名(計12名)が本活動に参加した。現在は4月下旬の平成19年度新1年生対象のSSCオリエンテーションでの作品発表を目標にしてアニメーションの制作を行っている。
タイとの授業交流については相手校及び本学院生の都合により,本年度の実施は見送られたが,平成19年度内に実施する予定である。
活動の目的
a.アニメーションの制作過程を理解する
アニメーションを制作過程において,頭の中にある創造物を現実のものとして具現化する必要がある。そのために必要なストーリーボードと絵コンテの作成を通して,ストーリーや登場人物を具体化する必要がある。アニメーションの制作過程においてどのような作業が必要となるのかを学ぶ。
b.表現力を育成する
人が歩く,動物が走るアニメーションの例示や,物体加速,物体が砕けるなどといった物理現象の具現化を学習し,ディジタルアニメーションの制作過程のなかで,頭の中にある創造物をどのような技術や方法で表現すればよいのかを生徒自らが考え,表現する事の楽しさを知り,各自の持つ表現力を広げることができるよう目指したい。
c.タイとの遠隔共同授業による国際理解
本学京都教育大学実践センター(佐々木真理教授,本学院生)との連携による日本・タイ間で遠隔授業による授業交流を行い,IT技術だけでなく,多文化交流・国際理解の教育実践もしていきたい。
活動期間
平成18年11月2日 ~ 平成19年度遠隔共同授業(日時未定)
活動内容
| 日時 | 活動内容 |
10/16(月) ~ 11/1(水) | 参加者の募集 |
11/2(木) 15:50 ~ 18:00 | Flash講座#1 (1)活動内容の説明 |
(2)ウクレレを弾くアニメーションの作成演習 ・モーショントゥイーンの学習 ・自由変形及び回転の学習 ・モーションガイドについての学習 | |
11/16(木) 15:50 ~ 18:00 | Flash講座#2 (1)具体的なアニメーションの作成演習 ・歩く(全身) ・歩く(上半身) ・振り向く ・話す (2)音声の挿入 |
| (3)イメージボード・絵コンテについて | |
12/19(火) ~
2/8(金) | ストーリー及び登場キャラクタの考案
12/19(火)ミーティング#1 (議題) ・チーム分け ・ストーリー及び登場キャラクタの考案について ・ウェブボード(掲示板)の使用法について
1/19(金)ミーティング#2 (議題) ・ストーリーと登場キャラクターの決定期日について ・ノートPC及びペンタブレット貸出について |
2/9(金) ~ 3/2(金) | 具体的なストーリーの考案 ・イメージボードと絵コンテの作成
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3/14(水) ~ 4月中旬 | Flashムービーの制作
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| 4月下旬 | SSCオリエンテーションに於いて作品発表 |
5月上旬 ~ | タイ-日本間 遠隔共同授業準備・実施 ・英語版への吹き替え作業 ・英文による作品紹介文の作成 ・ウェブボードによる意見交換(英文) |
3.教科指導からの発展としての自主的創造活動の開発について
①京都教育大学院生・学生による探求的活動への支援開発
1)「中等情報教育Ⅰ」における実地指導講師としての活動
本学京都教育大学の実地指導講師として,「中等情報教育Ⅰ」を受講する2・3回生を対象に本校情報科における実践内容について講義をする機会をいただいた。
| 日時 | 内 容 |
5/21(火) 10:30 ~ 12:00 | 情報Bの授業実践について ・情報Bについて(授業の目的について) ・第1学年における取り組み ・第3学年における取り組み ・授業評価について |
7/11(火) 10:30 ~ 12:00 | SSC活動の取り組みについて ・Flash制作の活動(作品紹介) ・タイ-日本間遠隔共同授業の実践(ビデオ視聴) |
2)本学学生への授業公開
平成18年9月の教育実習後に,情報科の本学教育実習生に,授業参観の呼びかけを行い,3名が授業参観に参加した。また,平成18年12月6日(水),「計測と制御」の授業において本学学生1名が特別講師として自立型ロボットの制御についての授業を行った。
次年度の課題
本学学生が授業に関わる機会は増えてはいるものの,まだ高大連携のシステム化には至っていない。次年度もより一層の連携強化を図る必要がある。