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  ■ ワンダフル キャンパス
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                              社会科学科・香川貴志

京都駅・JR藤森駅 
 本学はJR京都駅から奈良線でわずかに3つ目のJR藤森駅から至近の位置にあります。現代京都の玄関口であるJR京都駅は、斬新なデザインが印象的な総合ビルで、建物内にはデパートやホテルが入居しています。当初、この建物のデザインが公表された折、高さ制限の特例措置が取られたため、各所から批判の声が上がりました。ところが完成してみると、遊び心に満ちた個性的な駅ビルは多くの人びとから受け入れられ、今日ではフリースペースの多い京都駅がお気に入りになっている京都人も珍しくありません。
 JR京都駅を出発した奈良線の電車は直ぐに鴨川を渡り、飾り気のない京都の下町風情の中を走ります。ほどなく著名な伏見稲荷大社(お稲荷さん)に最寄りの稲荷駅に着きます。この神社の境内には赤鳥居が連なる参道もあり、京都を舞台にした多くの映画やドラマで見られる風景が現実に体験できます。稲荷駅を出て名神高速道路をアンダークロスすると、いよいよ本学の最寄り駅であるJR藤森駅が迫ってきます。
 JR藤森駅は清潔感のある小さな駅です。電車が来ない時間は大変静かで、初夏には雲雀のさえずりを耳にすることもあります。駅前の小さな広場では、本学の木代名誉教授製作の銅像が迎えてくれます。駅から大学まではわずかに数分の距離で、正門に至るまで京都盆地を眺めながら坂を下っていきます。この坂から見る黄昏時の風景は京都盆地の雄大さが実感できて格別ですが、多くの灯火を遠望できる夜景も捨て難い魅力に溢れています。
 JR藤森駅とは反対側の本学西隣りには、駈け馬神事と紫陽花で知られる藤森神社があります。この神社は勝負の神様としても有名で、受験シーズンになると合格祈願の絵馬が季節を感じさせてくれます。神社を過ぎて数分歩けば京阪電鉄の墨染駅に出ます。本学正門から藤森神社を経て墨染駅に至るこの道は、知る人ぞ知る旧東海道の大坂道です。江戸時代に多くの人びとが往来した歴史の道が、何気なくキャンパスの傍らを通っている、こんな素敵な環境が本学周辺では日常的に体験できます。


水の環境と伏見
 
 本学キャンパスのある伏見の地は、かつて「伏水」と記して「ふしみ」と呼ばれました。京都盆地を取り巻く山々に降り注いだ天からの水は、やがて地下で濾過・貯蔵され、盆地内の総量で琵琶湖の貯水量に匹敵するともいわれています。伏見は、この清冽な恵みの水が得易い場所に位置し、屈指の清酒醸造地として国内はもとより海外でも広くその名を知られています。
 また、角倉了以による高瀬川は、淀川水運とも連絡して洛中に至り、京都の玄関口として伏見の地位を高めました。近代に開削された琵琶湖疎水も、伏見の情景から切り離せない存在として本学キャンパスから至近の場所を流れ、新入生を迎える頃には水面が桜色に染まることもあります。
 かくして恵まれた「水の環境」は、地域産業としての清酒醸造業を育てたばかりでなく、隔絶しがちな盆地都市へ「外部との交流」というチャンスを与える鍵となりました。京都の発展に寄与した伏見の歴史は、酒蔵や水辺の情景となって現代に結実し、坂本竜馬ゆかりの寺田屋などの史跡を訪ねた人びとにも、心安らぐ都市の情景として忘れ得ぬ印象を残してくれます。
 全国各地から本学を目指して集まる学生諸君は、あたかも京都盆地に降り注ぐ天からの水のような存在です。本学での勉学や鍛錬は、まさに天水の濾過・貯蔵であり、学生諸君は「外部との交流」に長けた人材となって社会へと進出していきます。旅行ガイドブックでは大きく扱かわれないことが多い伏見ですが、その潤いに満ちた麗しき情景は本学で学んだ全ての者の心に深く刻まれ続けています。

 
写真:美術科・村田利裕
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